尖閣諸島問題で、ときどきコメンテーターのような人が、普天間問題で、日米関係が揺らいでいるからこんなことになったというようなことを言う。今朝の新聞にも同じようなことを書いていた人もいた。

かの石原慎太郎氏が似て米安保などいらないという根拠は、ほかならぬ尖閣問題である。

この島については、中国だけでなく、台湾にもちょっかいをだされたこともあるが、一度としてアメリカ海軍が動いたことはない。何のために沖縄に基地をおいているのかを考えてほしい。

日米安保というのは、条文にも明記されているように「共通の危機」に対処するためのものであって、日本を守るためのものではない。

これまでだって、思いやり予算をふくめてあれこれふんだくられてきたが、そのときでさえ、尖閣では彼らの好きなようにされてきた。

日米同盟が日本を守ってきたのではなく、アメリカの戦略がたまたま冷戦下で日本をとられたくなかったとか、アフガンのような国に派兵する際に便利だから基地をおいているだけで、普天間の問題と関連付けるのはさすがに馬鹿げているだろう。

普天間でアメリカのいうことを聞かなかったから、中国のいいようにされるのではなく、これだけアメリカに金を渡し、基地もおいているのに、アメリカがちゃんとやってくれないと、むしろアメリカに怒るべきだ。どこまでアメリカの属国でいたいのか?

あと、昨日もブログに書いたが、受験生の個人的なご質問にはお答えしていない。

私が緑鐵受験指導ゼミナールを始めたのもそのためだ。

あと、昨日の私の疑問だが、尖閣の映像流出事件について、テレビで八代弁護士が、著作権法違反で捕まえるのは難しくないという話をしていた。

さすがにそれはそうだろう。

この手のものに著作権が存在するかわからないが、いくら公務員だからといって、たとえば記録映像を勝手に配信していいわけではない。

たとえば、学校の運動会の学校がとった公式のビデオを、校長や父兄の許可なく、教師が勝手に流したら、おそらくは問題になるだろう。

基本的な考え方として、公のものは公のものとしてルールは守るべきだろう(あのバリバリ保守の橋下知事でさえ、公務員は政治家の決めたことを守るように言っているようだが、当然のスタンスだ)

そういえば、ラジオで竹中平蔵氏が、尖閣問題について、政治は現実的でないといけないと言った上で、今回の船長の無条件釈放は、こちらが無条件で許したように見えるから賢明でないと言った。

で、竹中氏の代案と言うと、船長の健康上の理由での人道上の理由とか、そういうことにして釈放すべきだったというような話だった(正確に覚えている方、そのラジオを聞いていた方がいたら教えてほしい)

五十歩百歩という気もしなくはないが、より説得力があったり、より多くの人の体面が保たれるエクスキュースを考えるというのはリアルな政治の仕事なのかもしれない。

ただ、これだってきちんと根回しをしておかないと、健康上の理由で釈放されたはずの船長がピンピンしてインタビューに答えるなどすれば、日本のメンツはもっと潰れる。

私自身は現場判断という形で、政治問題にしないというのは、現状の日中関係を考えると(要するに中国にモノを買ってもらわないと経済が成り立たないとか、中国に工場を作らないと安売りができないという、金持ちがいやしいから起こった現在の日本経済の体たらくを考えると)、政治ができる目一杯の妥協点のような気がする。

オバマにしても一定以上切り込めないのは、国債を買ってもらっているとか、自国製品を買ってほしいとか、そういう事情を考えた時に、ポーズ的に人民元をあげるべきだとしか言えないのだろう。

中国に今宵を奪われるのも、中国市場をあてにしないといけないのも、実際は、自分の国の金持ちが愛国的でなく、自腹を肥やすことが自国にいる労働者たちを貧しくして、自国のマーケットをシュリンクさせているからだということをもっと責めるべきだろう。

温 家宝あたりがアメリカのテレビに出て、中国はもっとアメリカ製品を変えと言われたら、私は買っていますよ、今日はアメリカ製の服を着てきた。ポロシャツはGAP,ジーンズはリーバイス、靴はナイキですとかいう。

すると、アメリカ人の司会者は喜ぶ。

ちょっとタグをみましょうというと、全部中国製だとわかる。

「うちの国は一生懸命アメリカ製品を買っているつもりなのに、あなたがたの国の経営者たちは、よほどアメリカ人を雇うのが嫌なのでしょうね」

こういうパフォーマンスを実は、日米貿易摩擦時代の日本の政治家にやってほしかったのだが。