大学にいったら人事から呼びつけられて、なにかと思ったら、大学あてに私を中傷する手紙が届いていたということだった。

前にも届いた、私がヤンキー批判をしていると思い込んでいる男からの嫌がらせのハガキだった。

しつこいようだが、たまたま本の帯ではヤンキーに教育を語らせる愚というようなキャッチコピーがついていたが、本の中で批判したのは、元不良やヤンキーの更生はむしろ歓迎する立場にいるが、暴力の被害者がいるような場合、それをみることでPTSDなどの症状が悪化する可能性が大きいからテレビには出るべきでないという話である。

そういうわけで私は別にこれまでヤンキーが嫌いなわけではなかったが、こういう男(その手紙によると自分も元ヤンキーだそうだ)が一人いると、やっぱり元ヤンキーというのは、一生治らないものなのかとつい思ってしまう。

小学生や中学生のころに在日の少年に殴られたから、それ以来、在日が嫌いになるように(大学に入ってから在日の性格のいい人間としりあって変わったのだが)、人間というのは個人的体験が、理性を凌駕する。

貧しい人の味方のつもりでいたら、当の貧しい人から、さまざまな批判を浴びて嫌になるのと同じことだ。

金持ちけんかせずとはよく言ったもので、金もちは心に余裕があるせいか無用なけんかをしないから、必要以上に嫌われることはない。ところが貧しいものは、生活がすさんでいるから、よけいなけんかを売って余計に嫌われる。しかし、そういう人間は、自分のことを棚にあげて、自分は貧しいから差別されると、よけいに攻撃性を高める。

悲しい話である。

弱者や貧しい者の味方になろうとする、自分なりに優しい気分でいようとすると、こういう形でぶち壊しになることがしょっちゅうだ。金持ちの味方みたいなことを言っていると、ほうぼうで講演で呼ばれ、「先生、先生」ともちあげられていい気分になれるのと偉い違いなのだ。これでは貧しい者の味方など半永久的に増えないし、金持ちの味方は文化人レベルでもどんどん増殖していく。

実際、金持ちは民主党まで手なずけてしまったようだ。

政府の税調は法人税の減税のための財源として、研究開発税制を大幅縮減するという。

要するに、研究費をなるべく使わないようにして利益を出した会社は減税して、手元にいっぱい金が残るようにするが、研究費をたくさん使う会社は増税するということである。

法人税の増税が国際競争力を高めるためとか言っていたが、これで、国際競争力を高めるより、企業がより多くの金を株主に配ったり、内部留保を貯めこむためのものであることが明らかになった。

株主の多くは外国人であり、内部留保を貯めこんだ会社をM&Aで乗っ取るのも(そういえば日本の会社をM&Aで乗っ取ってくれた会社にも優遇税制をするという案まででている)外国の会社である。

日本人の税金は外国人に流れ、また外国に負けないために研究開発費を使う会社は増税される。

しょぼい島である尖閣問題や、北方領土問題よりはるかに深刻な、日本企業が植民地の会社のような扱いを受ける税制だが、これについては自民党も財界も賛成しているらしい。

企業が金をもつのは、なんのためなのか?

外国企業をM&Aして体力を高めるとか、その費用を研究開発費に回して、将来の競争力を高めるためではなかったのか?

金持ちに金を配るためなのか?

日本のぐずぐずしている企業に競争力をつけさせる一番いい方法は、むしろ法人税を大幅増税して、その代わり、研究開発費やM&Aなどにまつわって、それを大幅に経費として認める、ちゃんと発展のために金を使う会社は優遇し、金を使わない会社からは税金をたんまり取ることなのではないかと私は信じる。