うぬぼれかもしれないが、私のブログの読者の知的レベルは高いらしく、メッセージを読むだけで相当刺激を受ける。

自殺について、病気と考えるのはどうかというメッセージがあった。私もすべてとは言っていないが、どんな調査でも8割から9割がやはり心の病を抱えている。正常な人も自殺をすることは否定しないが、やはりメンタルヘルスを充実して、自殺を減らすことは重要だし、自己決定の人が圧倒的少数なのに、自己決定のように論じられるのは問題があると信じる。

昨日のブログについては、そこまでやって委員会を、大阪のガス抜きという私の見立てをさらに綿密な施策で賛同してくれた人もいるし、「阪神が勝つと生活の苦しさも忘れられるのだろう』という言葉に強い反発を感じた人もいるようだ。私も現実に大阪に住んでいないのでわからないが、もちろん、大阪人がすべて貧乏のような物言いに聞こえたり、阪神が勝つことだけが生きがいなわけではないという反発もわかるが、このメッセージの主のような国立大学卒で一流企業に勤めているという立場にいない多くの大阪人にとって、たかじんや阪神がガス抜きになって、そこから先、東京への反発を感じているような気があまりにしないのは正直なところだ。あれだけ阪神やたかじんを通じて反東京の意識が強いのに、大阪から平気で東京に本社を移す会社の不買も起こらなければ、いろいろな会社がどんどん東京的になっていくのが悲しいのは、東京に出て行った人間の勝手な感傷なのだろうか?

さて、もう一つ、曲がりなりにも精神科医である私にも痛いところをつかれたと思ったメッセージがあった。それはアルコール依存症が遺伝的というより、むしろ子供のころの、トラウマや虐待と関係があるのではないかという指摘だ。

これについていえば、YESである。遺伝要因もかなり支持する学説や調査研究が出ているが、確かに、幼児期やあるいは青年期までの養育環境の影響も大きい。

たとえば、アルコール依存症の子供がアルコール依存になりやすいのは、遺伝なのか、生育環境のトラウマなのかは、まだ意見がわかれるところだ。

ただ、私が言いたかったのは、アルコール依存であれ、ギャンブル依存であれ、本人の意思の弱さだけでなる病気ではないということだ。養育環境なり、遺伝のかかわる立派な「病気」なのである。

もう一つ言いたいのは、そういう遺伝や不幸な養育環境がない人間でも、依存症になる可能性がある。それだけアルコールは依存性の強い物質なのである。

たとえば覚せい剤の場合、無理やりに打たれたり、もともとは意思の強い人でも依存症になることが知られている。

このくらい依存性が強ければ、禁止しようという話になるのは当然だ。

では、アルコールの場合は、依存症にならない人のほうが多いし、さまざまな文化にも貢献しているから許そうということになるのだろう。

それでも、予想外に依存性がつよいことがわかったので、諸外国では宣伝規制に入ってきた。

さまざまな論者の意見を総合すると、アルコールよりどうもギャンブルのほうが依存性は強そうだし、依存症になった際に失うものも大きい。そしてアルコールと比べて、たとえばメンタルヘルスにいいとか、郷土料理のような文化を支える効用も少ない。

せいぜい、ハラハラドキドキの体験が脳の感情の老化予防につながるくらいだろう。

依存性の強さについて、どこからが禁止で、どこからが広告禁止でという線引きは難しい。

ただ、ギャンブルについては、そろそろ本気で規制をする必要があると信じる。

ところで西村眞悟という元代議士が、パチンコの換金禁止へ向けての運動をやっていたという情報を寄せてくれた。

真偽のほどはわからないが、核保有に賛成するなど右翼的な言動の目立つ人だっただけにそれが真実なら、意外に愛国者かもしれないと思った。

少なくとも北朝鮮成敗などと元気のいいことを言いながら、裏でパチンコ屋から金をもらって、彼らが日本人のかなりの数を依存症で身の破滅に追い込んでいるのに、それには目をつぶって、私腹を肥やすより数段マシだ。

核兵器にしても確かにコストパフォーマンスのいい防衛手段であるのは確かだ。

愛国かどうかは、日の丸や君が代のような象徴崇拝かどうかで決めるより、もっと結果で決めたほうがいい。たとえば日の丸に礼をしない教師でも、その人の教え子が日本にとって大活躍をする人がたくさん出るなら、やはりその人は愛国者だろうし、日の丸の崇拝者でも、やはり暴走族は穀潰しである。