昨日のブログで弱音を吐いたら、非常にたくさんの応援メッセージを受けた。

中には同級生の勝谷氏との連携を進めればというご意見もいただいたが、彼は橋下氏のブレーンでもあるように、私から見ると弱者の味方とは思えない。相続税100%などと言おうものなら、共産主義者と斬って捨てられるような気がする。

さて、尖閣列島の事件で、さっさと中国人船長が釈放されて、日本政府の弱腰が問題になっている。

この手の外交問題があると、いつも政治家が弱腰だからというせいにばかりされる。

しかし、政治家が強気であったとしても、相手が弱気になるとは限らない。

たとえば北朝鮮に拉致を認めさせるところまではよかったが、その後、ずっと強気でいった結果、北朝鮮側は弱気になるかといったら、日本を無視して、アメリカや中国とばかり口をきくようになっている。

その背景には、日本の政治家もマスコミも金を握らせておけば、結果的に言うことを聞くということを北朝鮮が熟知していることがあるだろう。

あれだけ北朝鮮をボロクソにマスコミがたたき、さまざまな制裁をおこなっても、北朝鮮系の人間が行っているパチンコ屋から海外送金がないのかの調査や、あるいは裏金が生じていないのかの税務調査をやれという声がまったく上がらない。そして、毎日のようにパチンコ屋の広告は流され続ける。

『テレビの大罪』を書き終えた後、私に気づかなかった、テレビの大罪を教えてくれた本に帚木蓬生氏の『やめられない』という本がある。国内のギャンブル依存症の人間はなんと200万人もいるという。そして、帚木氏のクリニックでの調査では、その95%がパチンコとスロット絡みだそうだ。毎年、北朝鮮の拉致(多く見積もっても1000人くらいだろうか)くらいの数が、この病のからみで自殺している可能性がある。職を失い、家庭を崩壊させ、全財産をすり、借金まみれになり、犯罪に手を染めることも少なくないし、自己破産で金融機関に迷惑をかけ、生活保護に陥ってそうでなくても乏しい福祉財政を食い荒らす。

そういうギャンブル企業の経営者の多くが日本国籍を持たない人だというのなら、まさに阿片戦争時代と同じだ。北朝鮮よりはるかに日本が軍事力があるのに、阿片より依存性が強いかもしれないものに、日本人が蝕まれ続けている。当時の中国人官僚以上に、日本の政治家やマスコミが腐っているといえるのかもしれない。

ほかの依存性の強いものについては、対応がまちまちだ。タバコの依存症が怖いからと言って、広告規制を含めて、タバコはボロクソにたたかれた。アルコールも同じように依存性が強いが、酒の業者(日本一の富豪一族だって酒業者だ)のほうが政治家やマスコミに金をまいているから、飲酒運転だけがやり玉にあげられて、諸外国で始まっている飲酒の広告規制すら日本はやっていない。

それ以上にひどいのは、ギャンブル依存の放置だ。諸外国では、ギャンブルに対する規制は厳しいし、アメリカではカジノが合法の州ではその治療や相談に莫大な金がかけられている。当然、ギャンブルでの収益がそれにあてられる。

ところが、日本では、パチンコなどの広告は増えるいっぽうだ。これがいかに依存症の人間に強い刺激になるかの配慮はゼロにひとしい。

そんなことがまったく報じられない状況で、北朝鮮に政治家が少々強気になったところで、向こうが動くはずがない。

今回の中国の問題にしても、結局は経済問題だろう。

中国が仮にレアメタルの類を禁輸にしたところで、日本は対抗処置はとれない。

中国製品の輸入制限をしたら、日本のいやしい金持ちたちが日本人を雇わず、人件費を安く上げるために中国に工場を作っているために、自分で自分のクビをしめることになる。日本政府もマスコミももちろん、そういう卑しい金持ちに遠慮して、輸入規制は絶対にかけられない。

それ以上に、日本のいやしい金持ちたちが自国の労働者の賃金を下げ続け、また雇用の安定を保証しないので、どんどん内需が縮み、中国にものを買ってもらえるかどうかが死活問題になってしまった。アメリカよりものを買ってもらっているのだから、どうやって逆らえるのだろうか?

最近の中国の嫌がらせの手段として、円を買うことで、円高に誘導するという手があるそうだ。

円高になると日本株が売られる。

それは日本企業が輸出に頼りきっているとマーケットがみているほかに、もう一つ日本企業の特性がマーケットになめられているという側面がある。

それは日本企業は金をもっていても、積極的にM&Aをやらないと見られているからだ。

たとえば円が120円から80円になれば、日本企業はかつての3分の2の金で、外国の優良企業をかえることになる。

積極経営をしている会社にとっては円高は福音だ。現に経営者が優秀な食品会社は円高を歓迎しているといわれる。こういう会社にとってグローバル化というのは、アジア人並みに日本人の給料を下げることではなく(グローバル化というのならなぜ日本企業はヨーロッパ並みに従業員の給料を上げないのだろうか?)、外国の企業をばかばかを買収することだろう。

しかし、そういう会社がほとんどないとマーケットが見ているから円高になると日本株は売られる。

アメリカのような強欲国家でさえ、国力を保つために相続税の減税に金持ちが反対したし、今では全資産の半分以上を寄付しようという運動が始まり、それに参加しない富豪はバカにされつつある。

金持ちが卑しい国はほろぶし、外国にもなめられる。

日本の保守論陣、右翼は、ほとんどこのことを問題にしない。もちろんパチンコ問題も。

政治家もマスコミも簡単に金で転び、また経営者が目先の利益しか考えられずに、闘い続ける力がない国は、今後、もっとなめられ続けることだろう。