大阪地検特捜部の主任検事が証拠品改竄の容疑で逮捕された。

大阪地検というと、三井環という公安部長が、裏金問題をテレビでぶちまけようとした収録の直前に逮捕されたケースがある。口封じのための逮捕だとか、いろいろな説が流れているが、私には判断ができない。

ただ、一つ言えることは、あまりにタイミングを考えない逮捕だったので、口封じと言われても多くの人が納得してしまうということだろう。彼は、その後、週刊誌レベルであるが、ほうぼうのマスコミに出ている。おそらく、今回のような事件があると、大阪地検の内実を知る元検察官としてテレビなどにも出まくるのではないだろうか?

要するに、今度失態をやったら、やっぱり大阪地検はと言われかねない土壌の中でこんなヘマをやった。やはり組織としてはタガがゆるんでいるんだろうし、どうせばれないと高をくくっていたとしか思えない。

警察にしても、検察にしても不祥事を起こすところは決まっているような印象を受ける。

たとえば栃木県警は、足利事件でも有名になったが、19歳の会社員がリンチ殺人を受けた際に、捜査怠慢がさまざまな形で明らかにされた。

DV夫からの被害届をまともに受け取らず、結果的に奥さんが殺されたのも栃木県警だ。

ダメ組織は、またやったら何言われるかわからないという発想がないのか、同じようなチョンボを何回も繰り返す。しかも、それで人の命が奪われていくのだ。

さて、今回の改竄事件だが、組織ぐるみ説が高まってきている。最高検がどうしてこんな思い切ったことをやったのかわからない。民主党が何らかの形で意趣返しを始めたのかはよくわからない。

ただ、今回逮捕された検事は、小沢氏の秘書の主任でもあったようだ。

ただ、検察に仕返しをすること以上に、大切なのは、再発予防であり、被疑者の人権を守ることだろう。(えん罪でなければ人権は多少踏みにじられてもいいかもしれないが、そのためにこそ冤罪は限りなくゼロに近づけないといけない)

民主党は当初、取り調べの可視化を主張していたようだが、千葉という法務大臣は、まともにそれに手をつけなかった。彼女は人権派に見えるが、要するに検察の言いなりだから、えん罪が出る可能性があるから死刑に反対していたのだろう。悪い奴には死刑を適応する代わりに冤罪を限りなく減らす努力をすることのほうが庶民感情にもあっているし、法律行政のあるべき姿に近いはずなのに。

さて、実は、前述の三井氏が書いた新書本を読んだが、元検事だけあって、その改革提言に説得力があった。

要するに、取り調べの可視化は、被疑者だけでなく、参考人とか、証人、その他の関係者の取り調べも全面可視化にしないと、その前の段階で、検察に都合のいい供述を引き出し、それを被疑者につきつけるという形になってしまうということだそうだ。

「あいつは、こう言っていたぞ」「もうすでにあいつは自白したぞ」というような形でプレッシャーをかけるのだが、その「あいつ」の取り調べも可視化しないと、いくら被疑者の取り調べを可視化しても、冤罪は起こってしまうというわけだ。

もう一つは、今回の事件でも明らかになったことだが、検察は、ありとあらゆるものを押収する。この押収した証拠の中で、検察側に都合のいいものは裁判に出すが、逆に、その中で無罪の証拠がみつかってももみつぶすことがあるらしい。

要するに検察の押収品にすべて開示義務をつけろということだ。

裁判員裁判の時代だから、えん罪で後味が悪い思いをしたくない裁判員は多いだろう。

ただの検察バッシングでなく、まともな裁判のできる国になるきっかけになってくれることを切に望みたい。