昨日は、水戸で講演会だったのだが、妻の実家もあるので、自動車で行った。

あまりの渋滞に唖然とした。事故渋滞も重なったので、カーナビを使って下を通ったら、スイスイだったのに、高速を使うのと同じ(20kmを下を使うと30kmほど走って約80分)だけかかった。

高速を安くした場合、こんなことが起こるのか、それとも土日だけ安いから、そうなっているのかはよくわからないが、こんなに車がいるのかとびっくりした。

というのも、常磐道は、東北道などと比べて混むことが少なかった。行きがやたらに混んでいたので、みんな明日帰るのだろうと高をくくっていたら、昨日来た人がそれだけ多かったということだろう。

さて、一昨日のエンジン塾で田原総一郎氏が気になる発言をしていた。

それは日本には、経営者がいないという発言だった。

名だたる大企業の社長で、どれだけの人間がよその会社に社長として引き抜かれるか?という問いに、この人ならという名がほとんど上がらない。

これは、この10年以上、ずっと私が思い続けてきたことだ。

政治家が三流なのと同時に、経営者が三流なので、日本が立ち直らないと思うようになったのは、いつのころかは知らないが、そのために、『富裕層が日本をダメにした!』という本まで書いている。

法人税を下げろというが、今でさえ、あまった利益をどこに投資していいかわからずに内部留保ばかり膨らませている会社が山のようにある。欧米では株主が強いこともあるが、金があれば、設備投資であれ、M&Aであれ、投資に回すからキャッシュリッチな会社はそんなにない。

法人税を下げないと競争力が保たれないと文句を言うなら、増えた税引き後利益が競争力につながるのかを教えてほしい。

金だけ持っているが、経営のビジョンや、技術の革新、高付加価値の商品を作れない会社は、市場が認めない。結果的に、その会社の買収で、もっている金を外国にもっていかれるだけが落ちだ。

国のほうは借金まみれで、企業のほうは手元に金を残しておかないと怖い人ばかり。

結果的に、日本の経営者の金もうけの方法というと、リストラしかないという体たらく。イノベーションができて高付加価値の商品を作れるので、また商品に競争力があるので、リストラもやらないし、むしろ従業員の給料を上げているが、それでも儲かっているなどという経営者をほとんど見たことがない。(ビル・トッテンさんくらいか?)給料を下げて、人をクビにして利益を出すなら、アホでもできる。

昔の日本の経営者(価格以外でも国際競争力のある商品を出し続け、技術も世界のトップレベルに引き上げ、なおかつ従業員をクビにせず、また賃金も上げ続けた)と比べてはるかに無能なのに、給料だけは上げろ、税金は下げろというのだからあいた口がふさがらない。

昔は右肩上がりだったからできたと言い訳をする経営者はいくらでもいるだろう。

でも、右肩上がりでないのに、たとえばヨーロッパなどは社員に高い給料を払い続けて、それでも勝ち続けている会社はいくらでもある。

何が違うのか?

答えは、価格で競争をしないということだろう。

私が留学中の91年から94年当時は、アメリカの家電量販店では、日本の家電製品は4,5年前の商品が当たり前に売られていた。それでも売れた。4,5年前の商品だから安くて当たり前である。

なぜ、それが可能だったか?かつての日本の経営者は、社員に高給を払い、終身雇用や年功序列を守ったから、会社の外に出ると消費者になる社員たちは、「高くても」いいものなら買った。社員たちは、会社への恩に報いるために、いいものを作ったし、また消費者の要求水準が高い代わりに、多少高くても(たとえば出始めのVHSは30年以上前に25万円もしたのに飛ぶように売れた)いいものなら買った。

日本の経営者たちは、うちだけが高い給料を払ったら、潰れるとしか考えないだろう。しかし、高い給料の会社のものは、それが技術に跳ね返るかもしれないし、またブランドイメージだって高くなるかもしれない。そういう会社がいくつか成功したら、よその会社もまねをして給料を上げて、マーケット全体が大きくなるかもしれない。ヘンリー・フォードはそれにかけて従業員の給料を3倍にしたら、やはりよその会社も真似をするようになって、アメリカに自動車が買える中流階級を作ったとされる。もちろん、それによって車がバカ売れし、フォードが大儲けしたのは言うまでもない。

日本の経営者たちは、相変わらず賃金を下げ続けるだけでなく、自分たちの税金をまけてくれるなら、消費税を上げていいという。上がってから気がつくだろうが、多くの会社は、消費税分、値下げせざるを得なくなろうだろうが、後の祭りだ。利益にしかかからない法人税の減税分どころか、欠損を出して、法人税そのものが払えなくなる会社が続出するだろうに。

世界中の賃金水準が上がり続けているのに、日本は2年ほど前まで、企業が空前の黒字を出しながら、賃金を下げ続けた。

世界はそれにどう応えるか?中国は、日本に不買というカードで脅し続けるだろう。さらに言うと、日本のデフレに対して、外国は円高で答える。

購買力平価で比較すると、まだまだ円安という。この10年間で、欧米では5割以上、給料も物価も上がっているのに、日本は2割くらい下がっているからだ。10年前の半分の水準でないとフェアでないというのが欧米の言い分だ。

経団連という名のアホ組織が、みんなで給料を上げて、内需を作り、外国の理不尽な不買運動に対抗しようという愛国心に目覚めるのはいつの日なのだろうか?