自転車のことについては、もうあまり書くつもりはなかったのだが、また二つメッセージをいただいた。

大金持ちが自転車で貧乏な人にひかれて、何の賠償も得られないのに、障害者になってしまうことがある。だからひかれた人間は社会的弱者なのだというロジックについてという質問。

事故が起こってからについては、どちらが弱者というのは確かに難しい側面がある。しかし、ひく可能性のある人間が強者で、ひかれる可能性のある人間が弱者というのは、基本的に、これまでの警察のロジックである。

そのために、日本は歩行者や自転車にやたらに甘かった。アメリカでは、歩行者の飛び出しが警官にみつかると相当な罰金がとられる。事故については、どちらに過失があるかもきちんと判断する(ただし、このために腕のいい弁護士がついているほうが有利ということに結果的になってしまったのだが)。

事故防止という観点から言うと、弁護士の問題を除くとアメリカのほうがまっとうなような気がする。

ただ、これはあくまでも過失について、きちんと取り締まるということだ。メールを打ちながら自転車に乗るとか、歩行者の飛び出しなどを道路交通法で取り締まるのと、自転車に乗ることそのものが困難にするのとは違う。

私は、夜中に人が歩いておらず、大都市と違って交通手段の少ない地方で、大都市と同じような飲酒運転の取り締まりに疑問を感じているのだが、たとえば酔っ払いの自転車が人をはねて、運悪くその人が死んでしまったら、自転車だって、本来は車両だから飲酒運転は禁止のはずだというロジックを平気で東京のメディアは流すのではないかと恐れている。

貧しい人の楽しみやメンタルヘルスの手段をこれ以上奪うなと言いたい。

かと思うと、「奥様の車がきちんと一旦停止を行わなかった為、いきなり出てきた車の側面に自転車がぶつかったという可能性はないのでしょうか?」というメッセージももらう。

この人は、何を思ってこんなメッセージを送りつけてきたのだろうか?

この事故は、自宅の駐車場を出ようとしたときに起こった事故であるため、前にカーブミラーがない。そのため側方の確認をしないと事故にあうような道だったので、一旦停止をしなかったということは実際にはあり得ないのだが、警察は、このメッセージの主と同じような作文をした。

自転車は弱者で、自動車は強者というロジックで事件を解決したいという予断がありありだった。

その可能性もゼロではないが、ほかの可能性を考えずに決めつけることに警察の恣意を感じた。要するに、警察の場合は、主張の内容そのものは間違いでないだろうが、それが正しいと押しつけることが許せないし、メッセージの主については、そんなことはすでに聴かされているし、可能性は否定していないが、すでにこちらが冤罪を認めて、金までふんだくられているのに、もう一度蒸し返す神経が許せない。

ただ、済んでしまったことは仕方がないし、これまでメッセージを下さった方の文面などを読んで、貧しい人への配慮も大事と思った矢先に、このメッセージである。

自転車に乗る人は、こんな考え方の持ち主なのかと、この人、一人のために戻ってしまいそうになった。ほかの自転車に乗る人は、こんな考え方をしないのだろうが、人間というのは、感情の生き物である。泣きつかれれば、同情をするが、このような説教をされればむかつく。このメッセージの主は、自転車の味方のつもりなのだろうが、確実に自転車に対する、私の反感を再燃させる結果となった。

私もそこまでバカではないから、「だから、自転車に乗るような奴は、常に自己正当化してずうずうしいのだ」という風に考えをかえるつもりはないが、くだらない説教は、逆効果しか生まないということは覚えておいたほうがいい。説教をしたら、私が考えを変えるとでも思っているのだろうか?

説教や反論、批判という手段は、公に対して行うのなら、それに納得する人も大勢いるだろうが、相手を個人的に説得しようとする時には賢明な手段とは、私は全く思わない。よくて水掛け論を誘発するだけだ。

さて、それ以上に、意味のあるメッセージをいただいた。

ある外資系の有名企業に勤めていた方だそうだが、ひどいセクハラ、人種差別が横行していたし、それなのに、金の力で、日本人がなびいていた実情を告発してくれたものだ。

おそらく、それが実態なのだろう。

拝金論が跋扈すると、金の力で、日本人の誇りが失われていく。

三菱自動車のセクハラ事件や、トヨタのリコール事件がでっちあげと怒る保守論壇の人はいるが、日本での外資の横暴を怒る保守論壇の人はほとんどいないし、普段は、北朝鮮のことをボロクソに言う人も、パチンコ屋のやっていることがとばくの可能性があるし、金の流れが不明朗だから、北朝鮮にいくらわたっているかわからない(きちんと調べて、ゼロの可能性だってあると私も思っているが、ならばきちんと調べるべきだろう)というようなことを言う人もいない。

日本の右の連中は金持ちにヘイコラする人が多すぎる(『正論』の編集長の上島氏は、そういう点で尊敬のできる人だ)。

この方は、会社をやめてしまったそうだが、今のご時世、携帯でいくらでも録音もできるし、内緒で動画まで撮るのは可能だ。

アメリカで、これだけ日本企業がやられているのだから、日本の女性も意地を見せてほしい。

動かぬ証拠があっても、訴えた側を訴えることを平気でするアメリカ人もいるが、日本の裁判官も意地を見せてほしい。

ところで、アメリカは、このような裁判という形で、日本企業の1年分の利益くらいを平気で収奪するのに、そのせいで日本企業が撤退した話はない。税金が高ければ、企業が逃げていくというのは、この例からみても嘘っぱちとわかる。売り上げが上がるなら、多少むしり取られても、また、それが理不尽なものであっても、そこの国で商売がしたいのが企業というものだ。

最後に、精神障害の既往がある人が薬剤師になれないのかという質問のメッセージ。

これはさすがにないはずだ。もちろん、症状が悪い時に、一時的に資格がペンディングされることはあり得るだろうが。

ただ、もしそんなことがあるとすれば、厚生労働省自身が精神障害者に差別をし、偏見を助長し、自殺を増やすことに加担することになる。まったくやる気のない人間が大臣だから、それもあり得ない話でない(それでもないと思うし、あったら、告発してやれば、十分勝てる)。小沢さんが勝てば、多少はましになるのだろうか。