消費税増税についてどう思うかというようなメッセージをいただいた。

そのほかの読者の方もそうだが、私のブログのバックナンバーを読んでから質問の類はお願いしたい。

かなりのボリュームになってしまうし、タイトルと内容が必ずしも一致しないのは申し訳ないが、たまたま本日のブログを読んで、面白かったとかつまらないとか思う方はそれでいいが、私の意見に関心があるのなら、昔に書いたものも一通り読んでいただきたいし、そうでないと私の考え方がそんなに伝わらないと思う。

たとえば、昨日のように虐待を受けた子供たちは原則的に施設で育てるべきだ。そうでないと将来税金の無駄を生んだり、犯罪を増やしたりするというような内容を読むと、私が資本主義の権化のような人間と思う人もいるだろう(アメリカがそのやり方をとっているのも、綺麗ごとはともかくとして、本音ではそれが背景になっている)。その誤解は仕方がないが、ほかのことでどんな意見をもつのかを知りたいのなら、まず過去のブログはやはり読んでほしい。すると、私の別の面も見えてくるだろう。本音で書いているだけに、首尾一貫しない部分も多々あるだろうが、ベーシックな考え方はわかってもらえるし、ウソや飾りを書いた覚えはない。

もう一つ、数日前の話を今するのも変な感じだが、行方不明の高齢者問題で、家族の崩壊だとかいろいろなことを言う人もいるし、私も年金問題にからめて好き勝手なことを書いたが、高齢のホームレス問題を取り上げていた番組があった。

これは私も見落としていたし、鋭い視点だ。彼らは出稼ぎか何かをきっかけに東京に出てきて、何らかの形で東京に住みつくのだが、住民票をあえて取ろうとせずに、そのために生活保護が受けられなくても、無籍人人生を貫いている。

借金で雲隠れしたままという人もいるだろう。

私自身も、いろいろと高齢者の問題を扱っているが、所在確認ができていない人間がむしろこんなに少ないことに驚いている立場だ。死亡確認ができないとか、死亡の届を出せないような生き倒れがたくさんいることは承知している。しかもアメリカのsocial security numberのような国民番号を持たないのだから、偽名で人生を過ごすことも可能と言えば可能だ。

ただ、日本がいろいろな意味で進みすぎて、そんなものは把握できて当然という論調にむしろとまどっている。

さて、円高が進み、一方では企業業績が回復しながら、もう一方で、円高でまた大変という話にすぐになってしまう。

円高で売上の10%飛ぶようなことは不可抗力のようにいいながら、製造業の売上高人件費比率はわずか10%程度なのに、それを少しでも減らさないといけないと企業が強迫的になっている。人件費をけちるから内需がしぼみ、円高にびびらないといけないし、量販店に値下げして売らないといけなくなるのに、その構造を変えようという声が一切あがらない。

法人税は利益にしかかからないが、為替は儲かっていない会社の売り上げに直結するのに、法人税を下げれば企業が強くなると誰もが信じ込まされる。

何か変だ。

たまたま、レナウンが中国企業に買われた記事を読んだが、そのオーナーは当面リストラをしないという。中国で売るためにブランドイメージを守りたいからだという。

日本人を、なるべくクビを切らず、高い給料で雇うことで、熟練労働者化して、ブランドイメージを保つというのは、スイスでも、フランスでも、イタリアでも、ドイツの自動車工業でも、いろいろな形でやっている。

しかし、日本は国際競争力と言うと、価格競争力だと信じて、わざわざmade in Japanのほうが中国などで高く売れるのに、made in Chinaにしてブランドイメージを壊している。

スイスのようなブランド国になって、国民あたりの平均所得を上げる話をすると国の規模がスイスと違って小さすぎるといわれる。

しかし、人口800万人のスイスに対して、お客さんのヨーロッパは3億くらいの人口だ。

日本は1億2000万人いるが、日本を高級ブランドと見てくれるアジアの人口は30億にもなる。

高級と見てもらうにはちょうどいいバランスのはずだ。

たまたま中国大使になった、元伊藤忠の丹羽さんのインタビューを読んでいると、0.5haで作ると日本のおいしい米のコストはキロ420円だが、10haなら160円、中国のまずい米のコストが110円。そして、中国で年収1万ドル以上の人口が1億人いるが、彼らは高くても日本の農産物を求めるそうだ。

日本人に高い金を払っても、上手に集約化したら、高くても売れる商品が、勝負になる価格で作れる。

農業だって競争力をもっているのだ。

農業については、平等相続のおかげでどんどん農地が小さくなっている。

私の言うように相続税100%にして、事業継承者だけそれを減免するとか、国がいったん召し上げて、それを企業化するとかすれば、農業の生産性もずっと上がるし、輸出商品にもなるのだが。

とにかく、日本人をこれ以上貧乏にしたら、本当にアジア諸国と価格で競争をしないといけなくなる。

ブランドイメージで勝負する国に日本をとどめておくのか、強迫的な価格競争(安売り競争)路線、人件費削減路線でいくのか、本気で考える人間がどこかに出ないのだろうか?