梶原さんの『即答するバカ』という本を読んでいる。

タイトルからして姿勢が魅力的だが、中身は相変わらず濃い。私もそうならないように気をつけているつもりだが、本日もうっかりと女子アナの自殺について(というか子育てノイローゼについてだったが)、即答に近い形でコメントをしてしまい、多少の反省をしている。

それはテレビでなかったからの油断だったが、テレビのワイドショーや情報ワイドの類では、もう早速、自殺の原因を決めつけるような番組の構成が行われ、コメンテーターが「即答」を重ねる。

大体、ニュースワイド、情報ワイドのような番組は、私がアメリカに住んでいたころに、そういうのを見た記憶はない。確かに、ニュースにアンカーマンがコメントを付け加えることはあったが、ちょっと名前が売れているだけの素人(専門家ということになっているが)、事件の背景もわからない一日目くらいで、わいわいと論じながら、いろいろな事件の背景を決めつける、あるいは勧善懲悪コメントをすりこむというような構成の番組を私は海外では知らない。

ただ、私の無知や語学力の問題かもしれないので、賢明な読者の方で、外国でもそういうものがありますよと教えてくださるなら、感謝する。できれば、どこの国のどこの番組と具体的に教えてもらえれば本当に嬉しい。

そういえば選挙で落選した法務大臣が死刑を執行したという。

私としては、いくら冤罪の可能性があるからといって(それを最小限にする努力、たとえば取り調べの可視化や代用監獄問題の解決などは是非やってほしいが)、死刑と裁判で判決が確定したものを法務大臣が死刑にしないのは、行政が三権分立の精神を踏みにじっているとしか思えない。まして行政というのは、日本の場合は、立法府で法律を作れる与党の人間が行っているのだから、気に入らなければ法律を変えればいい(死刑廃止を含めて)のに、それをしないで、行政の段階で執行を停止するのはどういうつもりなのだろうか?金賢妃への莫大な支出といい、死刑囚を無駄に生かしておく経費といい、こういうものは行政訴訟を起こしても、払うのが国だから、大臣がいい加減なことをやる。株主代表訴訟のように、納税者代表訴訟のような制度を作って、無駄な金を支出した大臣そのものが訴えられるようにならないと、国の金が平気で使われてしまう。

さて、辻元清美さんが、社民党を離党したという。

朝まで生テレビで何回かご一緒した記憶があるが、実は偶然お会いして、少し会話を交わしたことがある。

私はドサ回りで大阪に講演に行く途中で、スケジュールがタイトだったので、飛行機をとった。そこで辻元さんと一緒に乗り合わせた。当時は彼女も現職の国会議員だった。

ところが機体の点検に時間がかかっているとのことで約1時間くらい出発が遅れてしまう。

そして、その遅れた飛行機に、最後に乗ってきた乗客がいた。下駄のような顔は今でも忘れないが、当時公明党の幹事長だった冬柴鉄三だった。

彼が席に着くと、整備がおわったということですぐに飛行機が出た。

降りる際に、「ひどい話だね」と辻元さんとちょっと憤慨した。

それから10年ほどの日々が経過し、辻元さんは、いわくつきの国土交通副大臣になった。

今度は、逆に飛行機を止めることができる立場についたのだろう。

社民党が連立を離脱したら、当然その立場を失う。

自分の好きに飛行機のダイヤを変えられる立場がよほどおいしかったのだろうかとつい勝手な想像をしてしまった。

もちろん、私は10年の間に何の進歩もなく、羽田の駐車場が混んでいるかどうかに一喜一憂する庶民のままである。

だからこんなことが書けると開き直るのは単なる僻みだろうか?