さて、共産党嫌いの人のメッセージにこんなものがあった。

(私のためしに共産党に票を入れたり、議席を取らせれば日本の政治家や金持ちも考えを変えるという提言に対して)「そんなリスキーなことに挑戦しないからこそかろうじて日本に良心があると信じたい。共産党のように気違いめいたことばかりいう政党に1議席たりとも渡したくないというのが通常の考えだと思います。」

これが世間一般の考えだとすると二つの意味で誤解があるように思う。

一つは、共産党がおかしなことを言っているかということである。彼らこそ、自民党や民主党の人たちのようにボロを出さない。党内官僚が練りに練った文章を政治家は読み上げるだけだから、表面上はいいことばかりを言う。天皇制だっていつの間にか否定しなくなったし、資本主義さえ否定しなくなっている。会社を国有化するとか、共産主義の国に日本を変えるとか、今でも本音はそうなのかもしれないが、そんなことはおくびに出さない。消費税を上げない、代わりに大企業から税金をとる、最低賃金を上げる、福祉と教育をよくするという具合に、ヨーロッパのソシアル政党ということは大して変わらない。彼らの組織は腐っているという話はよく聞くし、私も若いころに民青の連中の横暴を経験しているので、その可能性は高いと思っている。しかし、現時点で「言っていることが気違いめいたことばかりいう」とは、思えない。消費税より大企業増税では、日本の競争力が衰えるとか、最低賃金を上げたらやはり日本の企業がやっていけないとか、福祉や教育を充実させたらさらに財政が破綻するとかいう意味で気違いめいているという考え方もあるが、「気違い」と断罪するより、それの可能性を模索するという思索がないと、本当に金持ちの言いなりの国になってしまう。

日本という国では、弱者を公が助けなくていいと思っている人が38%もいるのだから、「福祉は全部打ち切って、税金を安くします」という過激保守政党がでてきたら、そこがものすごい票をとるかもしれない。共産党が票をとっても、誰も共産主義を望んで票を入れたと思わないだろうから、その政策を支持する人がいるということを示しておかないと弱者にとっては大変なことになる気がする。

もう一つは、それがリスキーかどうかだ。共産党が過半数をとるなら確かにリスキーかもしれないが、仮に10議席とっても、共産党を連立与党に組み入れようなどという政党はないだろうから、基本的にそんなリスクはない。

どうも最近、弱いものの勢力を過大評価する人が多い気がする。

北朝鮮のように日本の自衛隊で十分叩きのめせるゴミ国家がいつ攻めてくるかわからないから、日米安保は必須だとか、そのために沖縄で4000人の人がレイプ、強盗、殺人にあっていても、基地は沖縄に残せという話になる。

学力低下が起これば日教組が悪い話になるが、今の組織力や文部行政への影響力を考えても、そんなに力があるのか?確かに民主党のバックにいるが、ゆとり教育は、日教組より文部科学省の暴走であり、御用学者のほうがよほど責任がある。

弱いところを強いように見せるのは、為政者の常套手段である。

実は、知り合いからすごい話を聞かされた。

日本体育大学で、レイプだの、集団リンチまがい(死者まで出ているそうだ)のことが続出しているとのことだ。

ニュースソースがわかると迷惑がかかる人がいるかもしれないので、あまり詳しくは書けないが、大学側はそういう事件をなるべく隠蔽しようとしているし、「(加害者)にも将来があるので」と退学にさえしない方針だそうだ。

その加害者の将来とはなんだろう?

体育の教師である。

今もそうかわからないが、日本体育大学は、日本でもっとも教師をたくさん産んでいる大学だそうだ。体育の教師をでなく、教師をである。

全国に教育大学はあるし、数学や英語などはいろいろな大学の出身の人がいる。音楽大学や美術大学と比べて、日体大はその分野で圧倒的に強い。東京都などは一時期は、新任の教師(体育の教師でなく、全教師)の半分くらいが日体大だったそうだ。

教師の破廉恥事件はよく騒ぎになるし、勉強ばかりしているから人間性が育たないという批判も多い。

しかし、スポーツだけしてきた人間が、人間性が育つかというとそっちのほうがよほど疑問だ。サッカーがちょっと勝つとますますそのような「誤信念」が一人歩きしてしまう。

人が死んだり、一生PTSDで苦しむような被害を与えた人間の、将来を大切にするのが、体育の大学であり、そこから大量の体育教師が生まれるとすれば、そちらの害のほうがよほど勉強の害より大きいのではないか?