海外のホテルのサービスが悪いのは当たり前で、それに怒るのは私の不全感の表われというご親切なメッセージをいただいた。

しかし、少なくとも私にとっては海外のホテルのサービスが悪いのは当たり前ではない。

ただし、そのコストがかかるだけだ。たとえばスターウッドのグループなら、セントレジスクラス、ヒルトンのグループならコンラッドクラス、そしてマリオットのグループならリッツカールトンのクラスでないと日本人が普通に高級ホテルで受けるようなサービスは期待できない。ニューヨークなら、まともなサービスを受けるのに1泊700ドル、LAなら500ドルかかるというだけの話である。

通常はビバリーヒルズならビバリーヒルズホテルか、ペニンシュラかウィルシャーに泊っているのだが、今回はリッツがダウンタウンにできたというし、建物が超カッコよかったので、ミーハーな気分で泊っただけだ。、

要するに、500ドルクラスのホテルでは考えられないような、そしてリッツの看板を汚すような(よく考えたら、アメリカではあまりリッツに泊っていない。ただ、サンフランシスコのリッツは、サービスもレストランも最高だ)サービスだったから、率直に書いただけだ。

このメッセージの主の指摘するように、私は不全感で一杯だし、怒りっぽい。だから、少しでも怒らないで済むように使わなくていい金を使っている。(アメリカのビジネスマンも同じようなタイプAの人が多いから、そういうことにコストを使うのだろう)不愉快なメッセージを着信拒否にしているのも、おっしゃるように不全感が高くて、気に入らないメッセージを読むと、すぐに怒って、2,3時間不愉快で生産性の低い時間を作ってしまうからだ。今回、拒否をし忘れて、またこんなくだらない話をブログに書いて自分が情けない。

ただ、このくらいの歳になると、小人物の自分がかわいいし、変に老成してしまうと若さも失われるような気がするから、それでもいいかと思っている。土居先生も晩年、けっこう批判に激しく応酬した論文を見せてくれた際に、私に「カリカリしていていいだろ?」と言ってくれて、その人間臭さがすごく好きになった。私は偉い人になる気はほとんどないので、そういう自分でいたい。

そのほかのメッセージは建設的なものだった。あと、いつもメッセージをくれた方が朝日の投書欄にのったと言って内容を送ってくださったが、これもまっとうな内容だった(ときに投書欄はひどいものもあるが、基本的には編集委員が選んでいるので、編集委員が書く社説よりできがいいことも多い)。

どういう風に建設的かというと、税の問題について書くと、やはり脱税という大きな問題にいきあたる。

いっぽうで末端の消費者からは消費税をばっちりとって、その仕入れの消費税がごまかしが利くので、ますますサラリーマンの不全感や不平等感が強まる(今だって、自営業者の経費率より売り上げの捕捉が不十分なことが問題だ)ので、納税者番号やインボイス方式などの提言をもらった。

アメリカにはsocial security numberというのがあるが、それのおかげでスイスの銀行の隠し口座が暴かれることもあるという指摘もいただいた。

基本的にアメリカは、税率は低めだし、金持ち優遇と言われるが、その代わり脱税には厳しい。平気でjailに入れるし、また追徴課税も膨大だ。その上、実勢価格で資産などが評価されるから、結果的に日本より相続税は高い。

本来は納税者番号とか、social security numberというのは、金持ちが財産をもって海外に逃げたり(それを心配して相続税や所得税を上げるなという本末転倒な議論すらある)、出まかせな口座に金を隠したりできないように、金持ちには害が多いが、一般大衆には大して害のないものだ。

ところが、プライバシーを過剰に心配したり、国家の検閲だとかいって、むしろ貧乏人をたきつけて、それが実現しないようにしている。

ここでも、金持ちの貧乏人に対する洗脳能力に再び舌を巻くことになった。

大マスコミが一斉に反対する者は、通常、金持ちの利益と相反するものだとよく覚えておきたい。