昨日のブログも、文字サイズの変更の際になぜか最後の部分が2回同じ文章がでてしまうようだ。

アメブロ自体に欠陥がある気がするがどうだろうか?

昨日は、NHKハイビジョンのプレミアム8という番組で、エリザベスⅠ世についてのフリートークをしてきた。これまでNHKに出るたびに、みっちりと台本が作りこまれていて、フリートークとはほど遠かったのだが、今回は、テーブルの上から台本が取り上げられて、本当にフリートークになった。NHKも変わったということなのだろうか?

私は、実は無教養の見本のような人間で歴史にはまったく疎いのだが、にわか勉強でいろいろと言いたいことを言わせてもらった。どのくらいカットされたかはわからない。

ただ、非常に勉強になったのは、エリザベスが自分の子供を作らないと宣言して、結局、自分を暗殺しようとした親戚の女性(この人は死刑にされる)の息子に英才教育をして、それに後を継がせる。

そして本当に、国民と結婚したというだけあって、国民を豊かにする施策を重ねる。国民の教育レベルを上げるため、庶民でも外国語を習えるような学校を作ったり(そこからシェークスピアが生まれた)、福祉のない時代に救貧法を作ったりしている。浮浪者がいなくなるように、浮浪者が貴族の庇護のもとに入るような政策も行った。

私が何度も主張するように、貧しい人がいない国が豊かな国であり、その国の金持ちがいくら豊かな暮らしをしていても豊かな国とはいえない。そうならば北朝鮮まで豊かな国ということになってしまう。

その基盤の上に産業革命が起こったのだ。

相続という発想をもたなかったから、エリザベスは国民に財を分け与えることにためらいがなかった。

最近、読んだ中でもっとも面白かったのは、武田知弘という人の書いた『ヒトラーとケインズ』という本だ。

前の『ヒトラーの経済政策』でも問題になっていたが、ヒトラーはケインズの考えとほとんど同様の公共事業を大胆に行って、ボロボロの経済状態だったドイツ経済を立て直し、ヨーロッパで一番豊かな国を作った。だから戦争もできたのである。

いっぽう、ケインズ政策を初めて実行に移したと言われるニューディール政策はきわめて評判が悪い。なかなかアメリカの経済は回復せず、結局、第二次世界大戦が起こって経済が回復したというのが定説になっている。

ケインズの乗数効果がドイツで生まれ、アメリカで生まれなかった理由を武田氏(ケインズも?)はこう解釈している。

要するに、税金を増やして、それを公共投資に充てる場合、税金を増やすことで消費が減ったら、公共投資で消費が増えた分とチャラになってしまう。しかし、金持ちが金を使わない場合、そこから税金をとって公共投資で消費を増やすと、貯蓄セクターの金が消費に回るので、景気が回復すると。

武田氏は、経済学者でもなんでもない。西南学院大学中退のフリーライターだ。しかし、一流大学を出て、場合によっては留学までしている、日本のアホ経済学者より、よほど経済のセンスがありそうだ(ケインズも大学に残らず、もともとは実務家だったようだ)。

しかし、日本のアホマスコミと、アホ政治家たちは、素人理論として一笑するだろう。

クルーグマンはきちんと累進が厳しかった時代に一番アメリカが栄えたと言っているのに。

実際、ニューディールで景気が良くならなかったアメリカが戦争で景気がよくなったというが、その際も原資は、きびしい累進課税だった。戦争で消費を増やすのだが、貯金に回っていた金持ちの金をその原資に使ったから乗数効果が生まれた。そして、冷戦時にトルーマンはさらに増税して、最高税率を93%にしたが、このころのアメリカは総中流(黒人はそうでもなかったようだが)のようになって、GMもフォードも、GEもWHも作るもの作るものすべてバカ売れして、あまりものをヨーロッパやアジアに輸出できた。それでも日本人にとっては目の玉の飛び出るくらい高いものだったが、それでもものすごい憧れの品で、高いから買えないだけで、成金で金ができたら、喜んで買った。安くしなければ売れないようなものを作るのは国際競争力があるとは思えない。

そして日本も同様の累進課税で、一億総中流の頃に、いちばん製造業が栄えた。

経済学部を出ると、あるいはそこに残るとこういうことに気づかなくなるということを考えると、教育というのは恐ろしい。

武田さんみたいな人がいるから、学歴の意味が疑われるのだろうが、それは受験勉強が悪いわけでなく、教える教授が悪いからというのが、東大医学部を出た私の直観なのだが。