2、3日中に、開成番長として知られる繁田和貴との著書『難関校に合格する人の共通点』(東京書籍)が書店に出回るはずだ。

繁田さんはSAPIXで3年続けてトップになるほどの秀才で、開成中学時代もずっとクラスでトップだったのに、麻雀にはまって東大受験に失敗。浪人中もE判定だったのに、好きな女性が東大に入ったらつきあってくれると言ったことをきっかけに猛勉強をして、東大合格。

にもかかわらず、またパチスロにはまって、年収1000万円にもなるのに、東大も出れるかどうかわからない状態になって、結局、塾を開業して、できる子だけでなく、できない子もものすごく伸ばす、やる気にするということで、なんと私がもっとも注目する白夜書房(私の高校生時代は伝説の雑誌、『ウィークエンド・スーパー』を出し、そこでアラーキーを発掘し、『写真時代』で篠山紀信の写楽を駆逐し、さらに『パチンコ必勝ガイド』でいまだに30万部雑誌を出し続けるという、雑誌社の鏡のような会社だ)から、『開成番長の勉強術』という本を出したという波乱万丈伝のような人物だ。この本は、私が尊敬する、この3つの雑誌のすべての編集長を歴任した末井昭氏から声をかけられたというところもすごい。末井さん自身、上記のような伝説的でかつ売る編集者なのに、自身のギャンブルの借金で、ずっと白夜書房勤務(いくら肩代わりしてもらったのだろう)なのに、それでも本を売ろうとする精神もすごい。

その上、今度の本の表紙を見てもらえばわかるが、すごいイケメンである。

という憎たらしいような人との対談だが、教育に関する考え方、受験に関する考え方がかなり近かった。

だから『共通点』なのである。

その共通点というのは比較的当たり前のものだ

1.「素質がないと難関校に合格できない」がウソだと気づいている
2.「学歴なんて関係ない」がウソだと気づいている
3.勉強に価値があることに気づいている
4.限られた時間の有効な使い方を知っている
5.勉強にコツがあることに気付いている
6.「完璧」を求めるのは非効率であることに気づいている
7.勉強をしながら青春を楽しんでいる
8.親が適切なサポートをしている

しかし、その当たり前がわかっていないから勝手に落ちる人間がいくらでもでてきて、われわれのやっている教育産業は非常に助かる。

この本は、その当たり前の身につけ方が語り口調で書いてあるので、かなり使える本だと自負している。

ただ、私も繁田さんも、これを知らないから損をしている人を少しでも救いたいというのは、商売抜きの熱意をもっていることも信じてほしい。

教育産業というのは、なぜか商売っけだけではできない。

実際、予備校の名物教師というのは、金も儲けているが熱い人が多い。私が注目する塾のオーナーも大抵そうだ。

私を追い出した塾のオーナーはそんなものは感じられなかったが、結局、別の大手に売り払ってしまった。

繁田さんは、元不良のような肩書きだが、暴走族上がりで教育者気取りの人みたいに、人を傷つけたりしていない(元暴走族の民主党の国会議員もいるそうだが、そいつや元暴走族のタレントや弁護士にボコボコにされた人間は、その人たちがテレビに出るのを見るたびにフラッシュバックに苦しんでいるのは忘れてはならない。更正はもちろんいいことだが、そういう人間がテレビに出る害は確実にあるのだ)。

そして、きわめて礼儀正しいし、時間にもパンクチュアルだ。

勉強をするのは無駄でないということは、こういう人物を見ていても痛感する。