昨日のブログについて、実際に公的な特別養護老人ホームを経営している方から、多少の批判と情報提供を受けた。

私が言いたいのは、豪華な特養が民業の圧迫だということで、通常の特養が数が足りないし、また昔と比べると補助金も少なく、経営も苦しいし、スタッフの給料も安く抑えるために人手を集めるのも大変だということは重々承知している。

特養はもっと増やすべきだし、介護事業者にもっと補助金を払うべきだという風には私も思っている。

ただ、今の厚生労働省の政策では、建設費にはそれなりの補助はしても、人件費にきちんと補助をしないから、民間の有料老人ホームより建物は立派なのに、特養の運営事業者は経営が苦しいといういびつな状況になっているし、また数が足りていないのに、人手も建築費もかかる個室化を進めるから、介護難民は減らないし、民間の老人ホームも売れないという異常事態が起こっている。

当たり前の考え方をすると、個室なり、豪華な建物を望む人は有料老人ホームに入ればいいし、一人暮らしが困難になっていたり、老老介護が限界になっていたり、経済的に苦しいのに、在宅介護を強いられ、仕事をやめないといけないような状況におかれている人がいわゆる特別養護老人ホームに入るというすみ分けを行うべきだろう。基本的に特別養護老人ホームは、民間の有料老人ホームと違い、健常者が入るわけではない。介護の効率やコストを考えると、特養が余っている状況ならともかく、足りない状況で個室化を急ぐ理由がわからない。

逆に有料老人ホームのほうは、低コスト競争に参入して、特養待ちの人をビジネスの対象にしているが、当然サービスの質が落ちる。

高齢者の場合、子供に財産を残すことを考えず、家を売る覚悟さえあれば、あるいは、子供に貯金を残さない覚悟があれば、かなりの部分がそれなりに豪華な有料老人ホームに入れる。特別養護老人ホームはそれができない人を主たる対象にして、有料老人ホームとすみ分けをすべきなのだが、厚生労働省のいびつな介護政策のためにそれができなくなっているという問題を提起したかっただけだ、

現行の特別養護老人ホームを市場原理の中に放り込めというつもりはない。

結果的に現行の特別養護老人ホームが、何千万円もする有料老人ホームより建物が立派だから民業圧迫だと言っているだけだ。

日本の場合、人に金を使わずに、建物に金を使いすぎる。学校にしても、そうでなくても教育予算が少ないのに、建物はフィンランドと比べると立派すぎるが、フィンランドはクラスのサイズは日本よりはるかに小さく、教育スタッフに金を使っている。老人ホームにしても、フィンランドでもスウェーデンにしても、基本的にはツーバイフォーで作られているのを見たことがある。しかし、スタッフは日本よりはるかに潤沢だし、介護の順番待ちのために仕事をやめる人もいない。

私がマスコミ報道と同じことを言っていると、上記のような話を私はテレビマスコミなどで聞いたことはないし、むしろ個室化を歓迎しているように思える。

そうかと思えば、中国の大金持ちが全財産をチャリティに寄付して、子供にまったく残さなかったというニュースを教えてくれた人がいる。

http://labaq.com/archives/51442482.html

その額1128億円

子どもたちに関しては、
・自分より能力があれば相続などなくても、自らの力で富を築けるはず
・反対に自分より能力が無いなら、無駄にお金を食いつぶすだけ
との考えを持ち、これに子どもたちも賛同しているようです。

というその中の記事には観劇した。

まさに素晴らしい教育でもある。(実は、私も子供にそう話しているが)

中国人は民度が低いから、絶対に日本を抜かせないという日本の右派の文化人は何人もいるが、こういう話を日本で聞いたことがない。学力で抜かれ、民度で抜かれ、日本はどうなるのだろうか?

日本の場合、金持ちはいやしく金を子供に残し、世界でも類を見ない小学校から大学まで受験しなくていい学校に通わせる。

年収1800万円までは、親の年収が多いほど子供の学力が高いのに、それを越すと、学力がむしろ落ちるというデータもある。

おそらく金持ちになるような人は頭がいいはずだ。私は遺伝子は信じない立場だが、彼らの子供はちゃんと勉強させれば、親の財産などあてにしなくてもいいような人間になれるはずだし、親が長寿化しているのだから、親が投資してやってエンジェルにでもなれば、自分で富を売るチャンスは貧乏人の子供よりはるかに大きい。

それでも、子供に財産を残したい。

相続税を100%にできないうちは、金持ちの相続額を時価で発表して、寄付額も発表するシステムでも採用したらどうだろうか?日本では、私が相続税100%論をブログで書いただけで、そんなことをすると金持ちが逃げていくと非難のメッセージがくる。卑しい金持ちの味方までたくさんいるわけだ。私は相続税が高いから日本から逃げていくレベルの愛国心しか持ち合わせていないなら、そんな奴には出ていってほしいが。日本が好きな人で、この国を立て直していかないと現状の財政赤字は、立ち直りようもないし、教育や福祉にも金が使えない。

でも、これは金持ちに限ったことではない。

中流クラスでも、自分が建てた家、買ったマンションを子供に残そうとし、また退職金には手をつけず年金の範囲で暮らし、要介護になっても有料老人ホームに入らず(財産の処分で簡単に入れるのに)、特別養護老人ホームの順番待ちをする。

私は高齢者専門の総合病院にいたし、その病院では当直をすると二回に一度は高齢者がなくなった。在院者の平均年齢が80代半ばなのだから当然のことだ。

ところが、頻回に、一度も見まいにきたことのないような子供が現れる姿をみたし、あげく兄弟げんかが病院の中で始まる。多くは金がらみの問題だ。

公的介護は充実させるのと同時に、金のある人間は自分の介護費用くらい、子供に残すより自分で賄うべきだ。

そうでない限り、庶民の消費税も社会保障料も増え続け、逆に高齢者が邪魔にされる社会になってしまう。

相続税100%を目指して、今後も頑張っていきたい。

金持ちは、自分に使うために稼ぐという当たり前の原点に戻ってほしい。