WHOが酒の安売りや飲み放題を規制する指針案を出したそうだが、それについて早速東京のテレビ局のコメンテーターが反対のコメントを出した。

日本はWHOの自殺報道のガイドラインもまったく無視するなど、東京のテレビ局はやり放題だが、今回も東京のメディアの本質が露出されるようなやり方だ。

東京では、痛くもかゆくもないせいか、飲酒運転の厳罰化、微量の酒や酒を飲んだ翌日でもひっかかるくらい厳しい飲酒運転のチェックに関してはフリーパスだ。公共交通機関が発達していない地方の人間にとっては、前の晩に2合やそこらの酒を飲んだくらいでつかまり、懲戒免職になってしまうという厳しい量的規制は平気で応援してきた。

しかし、東京の人間でもひっかかる可能性のある酒の飲み放題や安売りの規制に関しては、本気になって怒る。

ただ、現在の推定では、自殺の15%はアルコール依存症によるものと推定されている。その数年間約5000人。飲酒運転の死亡事故の20倍の数である。自殺やアルコール依存で社会的生命が絶たれるのは自己責任で、飲酒運転の被害者は善意の市民と思われているかもしれないが、政府が多額の税金をとるために販売を認めている依存性の強い薬物である酒で依存症になるのは、本質的にはアヘンを無理やりに合法化したやり方と同じである。そして飲酒死亡事故のかなりの部分が自爆事故であって、必ずしも善意の市民ではない。第一、アルコール依存症になってしまうと、自動車がないと買い物もできない地域では、本人の意思に関係なしに飲酒運転をしてしまう。そうでないと生活ができないからだ。

私も酒のみだが、まだ飲酒運転の異常な厳罰化より、飲み放題や安売りの規制のほうがフェアだと思う。少なくとも痴呆と東京のダメージが同じなのである。

さて、私が受験版あしたのジョーを作るに際して、正しい努力の方向性といったのが気に入らない人がいるようだ。

私も「正しい」勉強法があると思っているわけでない。結果的に前のやり方より成績が上がれば、その人にとって正しいことになるだけで、すべての人に正しいわけではない。ただ、私が自負するのは、他の勉強法より、結果的に「正しい」ことになることが多いということだろう。

さて、私がもう一つ『受験のシンデレラ』で言いたかったのは、「学歴社会という神話」が崩壊したことへのアンチテーゼだろう。

世間は学歴社会を否定するが、語義通り学歴社会というものがあるとすれば、出自やもっている金より学歴のほうが社会的成功の要因になる社会ということである。

もしそんな社会が本当にあるとすれば、ある意味で平等でチャンスの社会ということになる。

しかし、実はそんなものはなかった。学歴社会と言われる時代でも、諸調査の結果、日本でも学歴より、親が東京に持ち家があるかどうかのほうが40歳時点での資産が多いということが明らかにされていた。

また、日本というのは世界でも例外的なくらい、学歴や学校歴と収入とに相関関係がなかった。

だから、もともと学歴社会というのは神話だった。

しかし、今は金持ちの子でないと、学歴の競争にすら参加できないと思われ、また世襲には勝てないと多くの人が思っている。

学歴社会という神話、学歴社会という幻想が崩壊しているのだ。

これは深刻な問題である。

私の『受験のシンデレラ』を観て、山本モナをはじめとして、不愉快な人たちが、主人公が東大に入って幸せなのか?成功したと言えるのか?という疑問をぶつけてきた。

しかし、元の高校中退の少女でいるよりは、人生の選択肢は確実に増えているはずだ。

日本は学歴社会だという幻想をもって高校生の子供たちが勉強にいそしむことさえ許さないことの方が、不倫をするよりよほど山本モナについては罪なことだと私は思った。もちろん、媒体は朝日新聞系のAERAだった。

そして、私を不憫に思い、『受験のシンデレラ』を応援してくださる産経新聞や『正論』の皆様の方が私は愛国的だと思う。

正論のシネマサロン『受験のシンデレラ』の問い合わせ先は、産経正論調査室03-3243-8454とのことだ。

またこれについての詳しくは、
http://www.sankei.co.jp/seiron/kokuti/0416cinema.html
を参照してほしい。

スクリーンで私の映画を観て涙してくれるすべての人と連帯したいというのは、本音の中の本音である。