暗記数学話をブログで書いたところ、今では結構オーソドックスなやり方ではないかというメッセージをいくつかもらった。

おそらくそうだろう。

ただ、数学の解答を覚えるのが意外に簡単でない。わかっていないと覚えられないなどというハードルがあるだけだ。私の見るところ、数学のできる奴のほうが解答を覚えるのも早い。数学好きの連中が、自分で解かないと気がすまないから、数学に必要以上に時間をかけてくれるおかげで、できの悪い人間が暗記数学で追いつくチャンスがあるが、暗記数学が広まりすぎると、逆にできの悪い人間のチャンスが小さくなるかもしれない。

またまたユニークなメッセージもいただく。

「それならコンピュータに解法プログラムと数式処理プログラムと人工知能を組み込んで問題を解かせることは可能だと思われますか。もしできるなら、スーパーコンピュータのサーバーサイドに入試問題解説ソフトウェアを組み込んで富士通のクラウドサービスで配布すれば教育費が安上がりになるはずです。」

言われてみて、初めて気がついた。

鋭い質問である。

もちろん、私の答えはYESなのだが、現在のコンピュータが、どのレベルまでファジー機能があるのかは私も知りたいところだ。似たような問題を、似たような問題として認識する機能や、ある程度の応用機能があるのか、いくつかの解放を組み合わせた問題を、その要素に分解することができるのか、などなどのハードルである。

私の楽観だと、受験数学のレベルなら、これはクリアしている、だからチェスなどでも世界チャンピオンレベル(将棋はまだそこまでいっていないらしいが)なのだと考えている。

たとえば、英作文の場合(これは私が聞いた話なので、正確なところを知っている人は教えてほしい)、当初、単語をなるべくたくさん覚えさせて、文法通りに文章を作らせるソフトを作ったら、ごつごつした通じない英語になってしまったそうだ。

そこで、巨大なハードディスク(今なら巨大でないのだろうが)を作って、膨大な量の英文を覚えさせて、与えられた日本語の文にいちばん近い英文を選ばせるようにしたら、かなりまともな英文を書けるようになったという。

ある程度似た文なら、その識別ができたり、多少文をいじるくらいはできるようだ。

そう考えたら、数学も似た問題から、ある程度の応用は可能だと私は思っただけの話だ。

さて、先ほどの英作文ソフトの話は、英語学習にも通じる。私の経験からも、せこせこと英単語を覚えるより、英文を覚えていったほうがよほど使えるし、点が取れるようになる。

実は、丸暗記に批判はあるが、英語の文章や数学の解答を覚えたほうが、英単語や公式を覚えるより受験ではずっと使える。覚えるブロックが小さすぎるから、センスの悪い子が受験から振り落とされてしまうというのが私の考え方だ。

ただ、コンピュータができることだからといって、受験勉強をしないでいい理由にならない。

メッセージの主の言うように教育のコスト削減には使えるということだけは付記しておきたい。