飲酒運転問題について相変わらず、正義の味方のようなメッセージをいただく。

実は、アメリカでも飲酒運転には甘くない。みつかるとJail行きだ。イタリアもフランスも「昔よりは」厳しくなっている。

ただ、アメリカは地方自治の精神で、取り締まりが地域によって違う。またイタリア、フランス、アメリカではビール一本やワインをハーフボトル飲んだくらいでは捕まえない(彼らは、夕食時に平気でフルボトルをあけるが、さすがにそれはまずいということになったようだが)。べろんべろんと食事と一緒に飲む「文化」とは別と考えている。向こうに住んでいる人の話では、やはり都市部と地方では取り締まりはずいぶん違うらしい。ちなみにイタリアやフランスは、心筋梗塞の死亡率がアメリカやドイツの半分程度だ。これは赤ワインのおかげと考えられている。飲酒運転を厳しく取り締まりすぎると、逆に心筋梗塞で死ぬ人間が、飲酒死亡事故の数より増える。(おそらく万単位で増えるだろう)

私が何度も問題にしているのは、日本の基準そのものが厳しすぎることと、地方と都会の取り締まりが全国一律で東京の基準で決められていることだ。

特攻については、当初、ある程度作戦としては意味をもっていた時代もあったらしい。そのころは、無駄死にをさせないために護衛までつけたようだ。作戦というのはやっているうちに、目的と手段が入れ替わり、死ぬことが自己目的化することが怖い。しかも、上官の多く(もちろん例外もかなりいる)は、平気で逃げ回っていた。もちろん、その多くは東京裁判でも裁かれず、のうのうと、たくさんの軍事恩給をもらったということが、日本人としてのけじめのなさだと思っている。創氏改名については、強制でなかったということも教えてもらった。これは勉強になった。だとすれば、もちろん韓国が日本を恨むのは、韓国人のパーソナリティやメンタリティのためである可能性が強いが、創氏改名を強制のように思われたためか、あるいは、当時、日本の政府が一般の日本人にひどいことをやっていたが、それと同じように、日本と連邦国家となった朝鮮の人たちにも、日本人並みの扱いをしたことが恨まれている可能背もある。何度も言うが、東京裁判は、戦勝国が敗戦国をさばく一方的なものだという認識を私はもっているが、戦前の体制が、日本国民に対して、きちんとけじめをつけたり、お詫びをしたようには思えない。ここが、日本の大きな問題のような気がしてならない。

もちろん、私はいろいろな意見があるのは当然と思う。絶対の正義という考え方が嫌いなだけだ。飲酒運転問題にしても、嫌煙権の問題にしても、議論さえ許されず、片方が正義で片方が悪という考え方は、私には合わない。合う人もたくさんいるのだろうし、民主主義の国家では、それが勝てば、そちらの法律が通る。ただ、その前のマスメディアの報道の段階で、一方が正義で一方が悪という報道しかしない状態で、民主主義で選挙で決まったからという話に危険を感じるだけだ。実際、今、飲酒運転がいいか悪いかと問われて、悪いと答える人のほうが9割くらいになるだろう。私だって、条件付きで悪いという考え方だ。しかし、それでも、その1割が許せなくて、私にメッセージを送りつける人間が何人もいる。全員を信じ込ませないと許せない全体主義が怖いから、こうして反論しているのだ。

たとえば、昨日のロリータポルノアニメの問題にしても、9割の人が悪いというだろうが、精神医学の立場から言うと病的な小児性愛者は確かにいる。そういう人たちにとって、子供を犠牲にしないですむアニメや漫画は、そこまでは許してやってもいいのではという考え方も成り立つのだ。正義と悪という二分法でなく、ここまでは許せるという現実的なラインは当然必要なはずだ。飲酒運転でも、ビール1本なのか、ワイン2杯なのか、アメリカのようにちゃんと歩けるかどうかでチェックするのか、どこで基準を決めるかが意味のあることなのに、オールオアナッシングで決める考え方は、私にはなじめない。

アメリカで、なかなか国民皆保険ができないのも、お金をもつ保険会社(GDPの14%にも達した医療費のそのまた3分の1は保険会社にいくという)が、マスコミを操作して、保険料を払わない貧乏人のために一般市民が犠牲になっていいのかというネガティブキャンペーンを張りまくっているせいだという。

私が学力低下、とくに韓国や中国に抜かれることを危惧するのも、学力が高いことが絶対の正義と思っているからではない。そういうことが多くの国民に知られないまま、視聴率が取れるからと言って、相変わらず、勉強のできない人間を美化する番組のほうが多いという現状に対して、代わりの情報を流したいからだ。

これにしても、アメリカの保険会社によるキャンペーンのほうが圧倒的に金も力もあるから、マイケル・ムーアのシッコまでが、フィクションだと信じ込む人が多いというのと同じで、マイケル・ムーアの100分の1の影響力もない私がこうやってブログで語るのも無駄なのかもしれないが。