本日は、臓器移植と大学医学部新設について、非常に知的で興味深いメッセージをいただいたが、多少まともな返事を書きたいので、このことについてのコメントは今回はしない。

さて、寺島しのぶさんがベルリン映画祭で、最優秀女優賞を受賞したそうだが、この「キャタピラー」の監督は若松孝二氏だった。昔、かなりアバンギャルドなピンク映画を撮っていた人だったが、わけがわからないのに、なんとなく好きだった。連合赤軍の映画は観にいきたかったがみそびれている。ただ、まだ現役を続け、賞をとるのはすごい。で、1965年に『壁の中の秘事』を同じベルリン映画祭に出したときには、国辱映画と言われたそうだ。(この映画の脚本はあの曽根中生氏である)「キャタピラー」にしても、寺島さんはさることながら、若松映画の常連だった吉澤健さんも出ているようだ。ぜひ見たい。

ということで、昔の映画青年時代のことを思い出して喜んでしまう。山田洋次氏や行定勲氏のような政治力のない人が評価されるのは海外の映画祭しかない(と日本ではさっぱり評価されない映画監督の端くれである私はそう思っている。曲がりなりにもモナコ国際映画祭でグランプリを受賞したのは事実だから)

あと、中卒、高卒の就職内定率が過去最大の下げ幅だという。民主党政権になって公共事業が減らされていくだろうから、しばらくは、このトレンドが続くだろうが、国際的にも知識社会化が進み、学力や高い教育レベルのない人間は雇ってもらえない傾向がすでに明言されている。

誰も助けてくれない社会では、子供に勉強させるしかない。

さて、昨日は、某出版社の人と食事会。

こちらから出したい本の企画として、40代後半の女性向けに、もう一度きれいなママになる本のようなものを作ればどうかという話題を出した。

自分の周り、妻の周りを見ていても、子供が大学に入ると、「人生はこれから」と目覚める女性が多い。

それまでは、髪を振り乱して教育ママをやっていた人が変わる(早い人は中学受験が終わると変わる)。

そういうわけで、この年代のほうが若返りたい、きれいになりたいという願望が切実なのではないかと私には見えて仕方がない。

ところが、「人生はこれから」のパートナーとして亭主じゃ不満な奥様は多そうだ。

長年連れ添って、亭主のいい点を再発見する人より、嫌な点が目に付く人が多い。若いころより暇になって、家にいる時間が長くなると、それがうっとうしいという話を何度聞くことか(私もその一人のようだが)

で、さらに厄介なのは、若い時期の男性は性欲的にさかりがついていることもあって、いろいろな女性にモーションをかける。たとえば、私の東大医学部の同級生だって、平均一人10人くらいに声をかけていたのではないか?

しかし、女性の側からは、昔は東大の医学部の男性から声をかけられていた、あっちを選んでいたら、なんてことを40代になっても覚えていたり、考えていたりするものなのだ。

この不景気のご時勢だから、ますます亭主が色あせ、稼げないダメな奴にみえることもあるだろう。

そこで、ちょっと若返ったり、きれいになったりして、ちょっと素敵な男性と仲良くなったら(お茶するくらいのレベルが多いようだが、もっとエスカレートする人も実は少なくないことも知っている)、ますます亭主がぼろきれのように感じられる。

そういう夢を見ていたり、実際に、そのスタートを切り出した人向けに本を出したら売れる気がするのだが、編集者は、むしろ、特別浮気などふまじめなことをしていないのに、奥さんに相手にされなくなる男はつらいよの本のほうがいいと言われてしまった。

どっちが正しいか、どこかの出版社が試させてくれないのだろうか?