トヨタの御曹司社長がやっと謝罪した。

それまでは、なぜ社長が謝罪しないと、スポンサーに遠慮して言わなかったマスコミも、ようやくとトヨタの社長批判が解禁されたようだ。

自分ところにだけ出稿がとまるのを恐れて、それまではそう思っていてもいえなかったが、おそらく私を含めて、ネットなどでの批判が高まって、社長がよくやく謝る話になれば、どこのマスコミも叩き放題になっている。

マスコミはまさに風見鶏である。

私がスマップの某タレントと朝青龍を一緒くたに論じたという批判を受けた。

某タレントは意識がなく、朝青龍はわかっていてやったというが、見てもいないことは論じられないし、某タレントも責任能力がないという鑑定を受けたわけではない(受けていれば、治療の必要があるという話になってよかったのだが)。暴行と公然わいせつとどっちが悪いかは価値観だろうが、障害は本来は親告罪ではないが、実質親告罪なので、示談が成立しているという側面もあるが、公然わいせつは警察のさじ加減の罪状になっている。一緒くたに論じてはいけないほど罪に大きな差があるとは思えない。

ただ、メッセージの主のいう話の趣旨は基本的に私も納得できるものだった。

タレントの事件を騒ぎすぎるのは確かだ。外国ならタブロイド紙で扱う内容が、一般紙で堂々と報じられたり、テレビでも大騒ぎというのはやはり違和感がある。

私は某タレントに甘くて、朝青龍に厳しいというのが趣旨ではない。某タレントが復帰したのは喜ばしい(アルコール依存の治療を受けていないのは問題だし、世間にあの程度は酒を飲めば普通という誤った認識が広がったのは問題だが)と思っている。そうではなくて、朝青龍に冷たすぎると思った、つまり外国人だから差別されているように感じただけだ。

あと、某タレントのときも最初はマスコミが袋叩きにしていたのに、ネットそのほかで味方をする人が多いと掌を返したように擁護論に転じた定見のなさに失望しただけだ。

やはりマスコミは風見鶏である。

さて、マスコミとまではいえないが、私は医療福祉チャンネルというCSのチャンネルで黒岩裕治さんと番組をもっている。

そこで、薬剤師の6年制になって希望者が激減した問題点と、訪問薬剤など臨床重視の傾向などを論じるテーマの収録を行った。

黒岩さんが、地域で臨床をやるのなら、偏差値秀才はいらないのではないかという話をされた。

30年前の日本人の学力なら、「そうかもしれませんね」と答えたかもしれない。

しかし、今は早慶クラスでも分数のできない大学生が2割もいる。

この学力低下の下では、薬剤師であれ、ナースであれ、やはり不安だ。

薬剤師の場合、薬の量の計算が間違っていると患者が死ぬことがある。

ここで怖いのは細かいミスでなく、桁の間違いだ。計算機を使って、数字はあっているのに、桁を間違うなどということはときどきあるが、そのときに、暗算がそれなりにできる人であれば、桁の間違いくらいには気づくはずだ。あるいは、医者が間違えて処方箋や注射箋を書いてきたときも、そのミスに薬剤師やナースが気づくほうが安全だ。

薬学は原則的に化学なので、物理と違って、微積分や三角関数などはまず要らない。しっかりと四則計算ができればいい。

だから、昔の高卒、中卒でも計算力があてになった時代なら、あまりハイレベルの学力を求めなくてもよかっただろう。

でも、今の学力なら明らかに心もとない。

あと、学力が高ければ、性格が悪いとか、臨床に向かないということもない。学力が高くても性格のいい良心的な医者もいるし、低くても性格の悪い人もいる。もちろん、高くて性格の悪い人も、学力が低くて性格のいい人もいる。おそらく相関関係はないだろう。

何をやるにも最低限の学力はいる。料理人だって、勘だけで料理を作るわけではないだろう。

早く中卒でも学力のある国を再建しないと職業選択の自由がどんどん狭められてしまう。