認知症の親をもちながら、医者にかからないために診断が受けられないという相談をいただいた。

地域にもよるだろうが、保健所に相談するのが妥当だと思う。私も昔は保健所に月1回頼まれていっていたが、医者にかからない認知症の患者さんに往診にいって、診断を与える仕事だった。

この手の情報が一般に伝わらない高齢社会のサービスの悪さにはちょっとあきれる。

もう一つ、インテリの読者の方からラビ・バトラについて教えてもらった。

共産主義の崩壊を予言した不思議な経済学者だが、この人が資本主義の崩壊を予言しているのだと。

興味があるので、ウィキペディアをあけてみると、富の集中と自由貿易が悪いのだという。

富の集中については、「富の集中している資産家たちは、自分たちが大量に貯めた金を使おうとせずに、より金持ちになろうとするがために消費せず、貧しい人はもともとお金がないため、消費することが出来ない。消費が動かなければ、いくら供給を喚起しても無駄なのである」と主張し、自由貿易については、「国際間の競争が激しくなると、生産者は競争力をつけるためにコストを下げざるを得ない。コストを下げるためには賃金を低く抑えることになる。賃金を低く抑えれば、結局消費は鈍化する。消費が鈍化すると、経済活動の歯車が回転せず、不況の原因になる」と論じているそうだ。

私とまったく同じ考え方だ。

基本的に、人類は進歩してくると、生産性が上がる上に、先進国では、アメリカのような例外国を除くと人口の伸びが鈍化したり、人口減少社会になるという傾向がある。どこの国でも、これからの時代のメインテーマは生産性の低さより、消費不足なのである。だから、富の偏在は、それに逆行する、つまり需給ギャップを増やすことにしかならない。働いても、累進でガッポリとられるようにして、働きすぎの奴にブレーキをかけないといけない時代がきているし、貧しい人(たとえ働きが悪くても)に金をもたせて、消費してもらわないといけないのだ。

ムーアもバトラも、社会主義でも資本主義でもない社会を想像する。

バトラは軍人が強い社会も予想している。

民の不満を力で解消するとか、あるいは力で押さえつける社会だ。儲けるだけ儲けて、大衆を軍事力で押さえつける中国は不愉快ではあるが、一つのモデルと言えなくはない。

自由貿易とか国際競争をやめて、鎖国ではないが、内需重視社会という考え方もある。スイスは、EUにも国連にも入らず、異様な高賃金の代わりに、異様な高物価の国だそうだが、結果的にブランドイメージの高い高付加価値の商品が作れるので、国際競争力ランキングでは常にトップクラスにいる。

私が考える社会も、基本的には、物価が高い代わりに、高賃金で、高福祉の社会だ。そして、相続のない資本主義という、富の欲望を一定にコントロールできる社会だ。

もちろん、私のモデルが正しいといいたいわけではない。

民主党政権もぼちぼち限界が見えてきたが、資本主義でも社会主義でもない社会を、そろそろ模索する準備が必要だといいたいのだ。