やっと高知から帰ってきた。

というのは、本日は出張授業で宿毛に行っていたからだ。林真理子先生、三枝成彰さん、波頭亮さんと一緒だ。小学生にどれだけわかるかわからないが、とりあえず、将来の可能性を増やすために勉強をしないといけないという話をした。12人くらいしかいないクラスだったので、全員に将来の夢を聞けた。やはりクラスは小さいほうがいい。

それと多少関連するメッセージをいただいたので、私のコメントを差し上げたい。大学中退のコンプレックスは資格試験に合格しないと解消しないのかという問題について。どうも、私は著書の中でそのようなことを書いたらしい。おそらく似たようなことを書いたのだろう。確かに、資格試験に合格したら、多くの場合、コンプレックスは解消するだろう。もちろん、コンプレックスというのは、気の持ちようだから、そういうことを経ないでも解消するかもしれない。しかし、貧しい暮らしや自己嫌悪の気持ちが解消しない限り、再燃する危険は大きい。

できれば、資格試験でなくても、何らかの成功体験がないとなかなか解消しにくいだろうから、とにかく成功できそうなことで努力してもらうしかない。いろいろなハウツー書をみながら、成功できそうなところで頑張ってほしい。

で、私も今回、ある努力の成果が出た。

エンジン01の高知のオープンカレッジの実行委員長の大役を果たしたし、それ以上に、ミュージカルが大成功で終わったのだ。

もちろん、脚本(中園ミホさんと秋元康さん)も、作詞(秋元康さん、湯川れい子さん)、作曲(三枝成彰さん、千住明さんほか)、主演の姿月あさとさんなどが、素晴らしかったのは言うまでもないが、それでもエンジンの素人軍団の努力の結果も大きい。

そして、見る人もいるだろうから、ネタバレがないように書かなかったのだが、実は、私は漫才デビューした。相方はケント・ギルバードさん。ジョン万次郎が実は二人組だったという設定だ。

漫才は難しい。後で聞くと、けっこう笑ってもらえたらしいが、舞台からあまり聞こえない。

それなりにアドリブをかまして、最後は、笑いがとれないときのお決まりで、思い切りこけたりした(けっこう痛かった)のだが、とりあえず、笑える部分は笑ってもいいきっかけを作ったという意味があると信じている。でも、やはり演じるほうが難しい。監督のほうが楽だ。

実は、漫才にはかなり思い入れがある。弟が東大に入ったら兄弟漫才をやりたいという願いもあった。それなりに話題になるとも信じていた。弟も漫才師を目指していた時期もあったが、結局、兄弟でアイドルプロデュース研究会などをやることはあっても、漫才をやることはなかった。

この話を清水圭さんに話すと、「先生、漫才をなめたら、あきませんで」とのつれないコメント。

ところがロザンの宇治原さんと対談のときに、その話をすると、「ならんといてもらってよかった」というありがたいお言葉。でも、われわれの漫才を見て、「お前には無理」と言われたかもしれない。

さて、芝居が大成功に終わって、3階席までスタンディングオベーションになると、涙が出そうになる。林真理子座長は泣いている。芝居を一回やったらやみつきになる心理は非常によくわかった。

練習はきつかったし、スケジュールはもっときつかった。

でも、この感激とか、この充実感、自己愛の満たされ方(実際は姿月さんや林さんへの拍手だったのだろうが)はすごいものがあった。

でも、やはり、出るほうより、監督業に専念できる、裏方になれるような才能がほしいし、それを鍛えたい。秋元さんも三枝さんも中園さんもカッコよかったし、実は主演の人たちより、彼らのほうが羨ましかった。