昨日はヘトヘト状態でのブログだったので、どれほど論理的だったかわからないが、格差是正というのは多くの人の関心事のようで、かなりの数のメッセージをいただいた。

ご意見としては、解雇規制を緩和したら、同一労働同一賃金の方向に向かうとか、外国人労働者への規制を緩和したら、もっと日本人が働くようになるとかいうものをいただいた。

このような論者は多く、私の尊敬するコンサルタントの人も、解雇規制が厳しく、労働の流動性が少ないから、オールドエコノミーに人がたまって、かえって日本の経済の発達を阻害するし、労働者の賃金もあがらない原因になるとおっしゃっていた。また解雇規制を緩和したら、企業も景気がいいときに人を雇いやすくなるということにも一定の説得力はある。

ただ、私には、そのまま解雇規制を緩和したところで、解雇がどんどん進むが、その吸収先がないし、またニューエコノミーにしても、金融ベンチャーなどを除けば、日本では経営者が総取りみたいな形で、けっして労働者は豊かでなかった。ホリエモンがフジテレビを買うときも、フジの給料を薄給のライブドアに合わせるという形で、ITを発達させて、ITの給与水準をテレビ局並を目指すという発想ではなかった。

結局、給料の下げあいの競争が起こる。すると国際競争力(GDPの10%程度)は多少強化されるが、GDPの80-90%を占める内需は余計に冷えてしまう。

外国人労働者への規制についても同じことだ。

経営者のモラルが期待できないのなら、仮にこの手の規制緩和をするなら、ベーシックインカムもすでに導入されていて、それ以上の賃金でないと労働者が集まらないという最低基準の確保が必要なように思えてならない。

もちろん、何度もいうように経済など仮説なのだから、実際に規制を緩和してみたら、いろいろな企業がいつでもクビにできるのならと急に人を雇いだすかもしれないし、逆にクビになる人がちまたにあふれるかもしれない。どちらが起こるかはやってみないとわからない。ついでにいうと、私のような零細企業の経営者にとっては、解雇規制は緩和されたほうがうれしいかどうかはともかくとして楽ではある。でも、多くの経営者がそう思うとすれば、経営がうまくいっていない時期には、非常に解雇の誘惑になりそうな気もする。(それでも、妻に言わせると私は非常に従業員に甘い経営者だそうなのだが)

あと、ベーシックインカム論であるが、失業中であれ、稼げない仕事であれ、それに足りない間は公的セクターが残りの額を保障するという考え方は、消費を保つ上で、内需を引き上げる上で重要な視点だと思っている。

ただし、二つ条件がある。

一つは、消費を増やすためにやる政策だから、貯金は禁止する。車を買うための貯金だとか言い訳をするのなら、1年以内に車を買わないと貯金は没収するとか、その手の消費促進は求めてもいいだろう。貯金がなくても食べていけるのがベーシックインカムのいいところなのだから。

二つ目は、就労の動機づけに名誉を利用するということだ。

逆に言うと、多少は働きもしないでお金だけもらっていることに恥の意識を持っていてほしい(病気の人は別だが)。

お金を動機にするシステムでは、負け組の人が貧乏なので、子供に教育をつけられないなど、子供の代まで立ち直れないが、少なくとも子供に教育をつけられる程度のベーシックインカムを保障すれば、恥の意識をぬぐうために子供に教育をつけるという人も出てくるだろう。

私は社会のインセンティブシステムを金にするより名誉にしたほうがいいと思っている。お金があっても卑しいやつはバカにされるとか、金がなくても名誉がある人がいるとか、教養がある人のほうが尊敬されるとか。

金はどんなバカ息子にでも相続できるが、名誉は相続できない。教育だけでなく、教養も徳も重要になる。

しかし、負のインセンティブが差別の問題につながるということは確かにある。

でも、身体的欠陥、生物学的欠陥以外の差別なら、一代限り(その子まで負うのでなければ)なら多少の差別は許されるのではないか?卑しいことをした人間や、元犯罪者は多少の差別を受けるほうが、抑止効果はあるだろう。

ただし、彼らにもベーシックインカムはきちんと与えてほしい。

こんな話を書くと怒りのメッセージをたくさんいただきそうだが、私の本音である。

怒りや建前でなく、こちらに気づきを与えてくれるメッセージは歓迎したいが。