政府の税調で、鳩山首相が、給与つき税額控除や納税者番号の導入を指示したとの事だ。

確かに低所得者にとって、控除のほうが、税金より多ければ返ってくるというのであれば、税金をとられるのが嫌で働かないという層の人がもう少し働く気になるというのは、いいアイディアだろう。

また納税者番号にしても、税金のとりはぐれを減らすにはかなりの効果があるだろう。

私自身は税金のムダ使いのチェック以上に脱税の摘発を一生懸命やってほしい。

税金のムダ使いのカットというのは、確かに官僚の天下りのための特殊法人などの補助金カットなどはいいだろうが、ときに行き過ぎると、いろいろな補助金のカットなどで、結局苦しい業者や貧しい人にしわ寄せがくることも多い。

それと比べて脱税の摘発は、社会の不公正(実際は、重罪にしてもいい犯罪行為である)への摘発であるから、社会正義のためにも、税の公平性を保つためにも重要であるし、脱税が摘発されるのは基本的に金持ちであるから、格差の是正にもつながる。

駐車警備員を導入するだけであれだけ駐車違反が減ったのだから、民間を導入しても、徹底的にチェックすべきだし、チクリにしてもまじめに取り合うべきだ。

調べる職員が足りないのなら増員すればいい。失業対策にもなるし、人件費が100億円で摘発が1000億円なら大儲けだ。

納税者番号だけでなく、現金商売についてもいろいろと工夫ができるだろう。

たとえば、医者などは多少の優遇税制がある代わりに、保健医療の分は不正請求をしない限りは、税額捕捉される。私の原稿料などもそうだ。

収入を捕捉するだけでも、税金逃れを防げるなら、すべてのレジを政府のホストコンピューターにつなげるようなシステムを導入してもいいのではないか?それにインセンティブをつけるために、そこから出たレシートは一律30%経費として認めるいう還付制度でもつければ、消費を促進する効果も期待できる。逆にそのレジを導入しない業者だけ、脱税の調べをやればいいのだから、仕事も楽になる。

強制は難しくても工夫の余地がある。

給与つきの控除にしても、実は、失業者や収入がきわめて少ないワーキングプアの人にはあまり効果がない。

本来は、ベーシックインカムまで踏み込まないと、「貧乏な人」はいなくならないし、消費の拡大もそうは望めないだろう。

消費拡大という観点では、経費をどこまで認めるかを議論すべきだろうし、税収にしても消費税以外に格差是正や消費性向の観点から、累進の復活だって本気で検討すべきだ。高齢社会の財源を高齢者に払わせるという点でも消費促進という点でも相続税の大幅増税も考えたっていい。

税金というのは金を得るという観点だけでなく、その経済効果も考えるべきというクルーグマンの主張は妥当なものだ(ケインズも似たようなことを言っている)。

税調がどれだけ過去の考えにとらわれず、自由な議論ができるかで、民主党の真価が問われると私は信じている。