さて、民主党政権が発足して、閣僚の人事も発表された。

世間で予想された人事ではあるが、法務大臣にわざわざ死刑廃止運動をやっている弁護士あがりの人(こういう人は身内が殺されると人の痛みがわかることが多いのだが)にするようなことを除けば、基本的に妥当な人事のようには思える。

ゆとり教育の熱烈な支持者である小宮山洋子氏(成城の理事会でご一緒したが、ゆとり教育でおなじみの教育学者を学園長に推薦していた)が文部科学大臣にならず、理系で研究者出身(ただし、もともとは労組幹部で、パチンコ・チェーンストア協会政治分野アドバイザー、この名簿をみると民主党のスポンサーがいかにパチンコ業界だったかがわかる。昔の朝鮮利権が社会党にあった名残なのだろうか?)の川端達夫氏が就任するなど、まともな人事と言えるかもしれない。

厚生労働大臣になった長妻氏にしても、医療について、あるいは介護問題について言いたいことはいっぱいあるが、もともと日経ビジネスの記者ということで、人の話はちゃんと聞ける人のようなので、期待はしたい。

今回の選挙で、民主党が「この人を」とかついだ新人がいなかったこともあって、新人でいきなり入閣(もともと内閣府参与だった岸本さんなどが入れば面白かったのだが)などということもなく、当選を重ねていないと大臣になれないというシステムは大きな変化はないし(これは議院内閣制の宿命なのだろうか?すごい人をバカバカ連れてくるアメリカの人選と比べるとここが寂しい)、まして、民間人を一人も登用しなかったのは、見識かもしれないが、いっぽうで長い間野党だったせいで、なりたい人、ならせろとボスが圧力をかける人が多すぎて、処理し切れなかったのではないかという懸念は残る。

ただ、官僚支配と立ち向かえるかどうかは、結局のところ、本人の度胸とブレーンの問題だろう。

最近、どういうわけか、自民党系の人たちから、話を聴きたいというお誘いを受けることが多い。

彼らがこれまでのように官僚をブレーンに使えなくなったことも大きいのだろうし、次の選挙で勝つために、やっとまじめに政策を考えるようになったというのは、本当に好ましいことで、二大政党の効用がやっとでてきたということなのだろうが、昔、ときどき民主党の人が、医療や教育の話を語り合うことが多かったが、政権をとったとたんにブレーンは、自分から名乗り出てくる人とか、昔からの知り合いとか、最終的には官僚になってしまうのだろうか?

だから、意外に在野に面白い人間がいても、政治が変わらないのかもしれない。えらくなるほど、賢い人(私はその中に入っていないと思うが)に話を聴こうとしなくなるのも、人間の悲しい性だ。

民主党もできるだけ、官僚とけんかのできるブレーンを登用してほしい。人間というのは単純なもので、偉い人(与党になったとたんにえらい人になるのが人間の悲しい性だ)から、声をかけられるとすぐにうれしくなって、多少嫌いな人でも、自分のアイディアを伝えたくなる。逆にソデにされると不快になって、強力な批判者になる。

このあたりの心理学を心理学科出身(臨床心理ではないが)の原口氏あたりがわかっているといいのだが。

ということで、可もなく不可もない人事もブレーン次第だとは考える。

ところで、27歳で東大を目指して勉強しているという若者で、将来は政治家の秘書になりたいという人から「遅すすぎないか」というメッセージ。

私のみるところ、政治家の避暑こそ人がいない。昔と違って、優秀な人がならない。多少歳をくっていても、東大を出ていたら、面白がって雇ってもらえるだろう。

ただ、昔ほど政治家の秘書に利権がないので、貧乏を覚悟しないといけないのは玉に瑕だ。ただし、今回の民主党のように風が吹く政党にいれば(前回の自民党もそうだった)、秘書から国会議員になれるチャンスも大きい。

とにかく、まず受かることだ。東大に入れば、なんやかんやいって、人脈は広がるはずだ。