ちょっと気になる質問がいくつかたまっているので、本日は答えの日としたい。これからは、こんな形でまとめて答える形になるかもしれない。ただ、答えきれる確約ができないことも了承してほしい。

一つ目、A級戦犯の否定で、広田弘毅はどうかという話。(以下敬称略)

私も確実に評価できるほど、情報をもっているわけではないが、確かに当時の日本としては優秀な政治家だったと思う。

一つ、立場を明らかにしておきたいのは、私は極東軍事裁判の判決が正しかったといいたいわけではない。連合国の決めた判決には基本的に批判的な立場である。しかし、軍人に関しては、部下に自決や特攻のようなことをさせておいて、自分は「生きて虜囚の辱め」を受けたような連中ということでけじめのなさを問題にしているだけだ。裁判で無罪になったとしても、自決はともかくとして、仏門に入るくらいのけじめをつけられなかったのかを問題にしたい。文官の場合は、有罪になった人間と無罪になった人間がいるわけだが、連合国が無罪といったら無罪というのなら、有罪にだけいちゃもんをつけて、無罪はお墨付きというのはダブルスタンダードだといいたい。文民についても、何らかの形で、国民裁判のようなことをやって、連合国としてでなく、戦争に負けた責任と、身内がへぼな外交のせいで死んだことの責任を問い、その上で、国民として、この人は許せると思えた人について、受け入れるみたいな方法論が、たとえば日本独立の際にできなかったのかを知りたい。

いずれにせよ、靖国に合祀されているA級戦犯の文民は広田だけだが、遺族だって喜んでいないというコメントが実際にあるし、広田家の墓参りのほうが、靖国に参拝するより意味がある。

極東軍事裁判がインチキだというなら、A級戦犯の名誉回復が必要な場合もあるし、上手に裁判を逃げ切ったが、国民として許さないという人を断罪することが必要な場合もある。

やりたいことが見つからないが、浪人して東大にいけばいいのか、現役で東北大学にいけばいいのか?という質問。やりたいことが見つからないなら東大のほうが選択肢が多いし、教養の2年間の猶予がある。ただ、工学部というのなら、東大が100%無理と思うなら、まず東北大学に入ってみて、あいそうもなければ、来年東大を受けなおすという手もある。あうのなら東北大を続ければいい。あと、工学部なら大学院で東大に入りなおすという手もある。

新米の医者より看護師のほうが治療能力があるので、看護師に治療の権限を与えてはどうかという話。

確かに看護師のほうが臨床ができるケースはある。採血や点滴だって医者よりうまいし、救急の判断も医者より優れていることはあるだろう。また、今の看護師の多くは4年生の看護学部を出ているし、教育レベルもかなり高く、人間の解剖や生理も、臨床科のこともわかっている。国立の看護学部のほうが新設私立の医学部より偏差値が高いことも珍しくない。ついでにいうと、医者の臨床の腕のいい悪いを見抜く能力も高い。医学部の教授選の際に、看護師の意見も反映されるシステムを作ればいいと思うくらいだ。『ディアドクター』という映画があったが、ナースが同じ条件でニセ医者をやったら、まずばれないのではないかと思うくらいだ。

アメリカでは、看護師にかなりの治療を許しているし、またカンファレンスでも医者と対等の発言を許している。私の留学中も、ナースが相当治療的なことをしていたし、グループ精神療法などの治療者をやることもあった。日本はアメリカと比べて、コメディカル(医療職―看護師や作業療法士、ケースワーカー、検査技師など)の地位が低すぎるのは実感した。

ついでにいうと、アメリカでは一定期間の臨床経験をつんだナースが、専門職大学院にいって、ナース・プラクティショナーの資格を得ると、相当の臨床行為が許され、開業までできるという制度もある。

そんないきさつもあって、日本でもナース・プラクティショナー養成の動きはあるし、大分県立看護科学大学大学院ではそのコースもできたが、アメリカほどの権限は与えられていない。

ただ、さすがにナースに全面的に医療行為を許せるかというと問題点は残るだろう。片方が6年生で片方が4年生ということもあって、まだかなり習う内容に差があるのは事実だ。

妥当なところでは、たとえば看護師の資格を持つ人に、医学部の4年くらいからの編入を認めるとか、メディカルスクールを作ることになったら、2年くらいは既習の扱いを受けるとかが妥当ではないだろうか?

昔は東大の保険学科や看護コースの卒業生で二人だけ、医学科の3年生に編入というのがあった(今はどうなっているか知っている人はいますか?)。

看護師のほうが医者より立場が下みたいに思われると困るが、看護師がもう少し簡単に医者になれる方法はないかというのは、私も同感するところである。

もう一つ、どうしてもコメントしたいメッセージがある。

特別なニュースがなければ明日はそれに答えたい。

イルミさん、乞うご期待を