昨日は言わずと知れた都議選

昔は選挙にまったく行かなかった私であるが、ワイフにそんなことではいかんと叱られて、ここしばらくは選挙権を行使している。

今回は自民だけでなく民主にもNOを言いたかったので、共産党に入れたら、ワイフにわが家にもついに共産主義者が出たとどやされた。

ふたをあけてみると、民主が圧勝、自民がぼろ負け。しかし、ここまでは織り込み済だ。

いっぽうで、共産党が大幅に議席を減らし、社民党は一議席も取れなかった。

中央政界ならいざ知らず、地方議会なのだから、共産党が勝ったところで、権力の暴走のチェック体制が増えるだけなのだが。

公約についてもいい線だとは思う。1メートル1億円もかかる道路を作るより、医療福祉をというのはまっとうだし、都立病院を次々と廃止するのは、たとえば都立老人医療センターのように高齢者専門の総合病院がなくなることにもつながり、高齢者向けの医療の研究や臨床がまた後退してしまう。
都議の海外視察が、民主が150万で、自民が200万というのも痛いところをついている。

しかし、これだけ言って大負けすれば、道路は作り放題、医療福祉は切り捨て放題だ。共産党がそこそこ勝てば、衆院選で救貧対策、格差対策を自民も民主ももっと盛り込むことになっただろうし、道路も凍結、医療福祉の充実という公約をパクったはずなのに、残念でならない。

アメリカと日本では、政治の対立軸は保守対リベラルだが、ヨーロッパではリベラル対ソシアルだという話を読んだことがある。貧困率のOECD1、2位の国がソシアルがまったく振るわないので、貧乏人はさらに受難ということになる。本日の読売新聞でも、GMが潰れたのは従業員の待遇がよすぎたためというようなことが書かれていたが、経営者の給料が高すぎたことや、なぜ医療保険が経営を圧迫するレベルにまで高騰したかなどという問題には触れられない。金持ちはGMのようになるぞと従業員を脅し続け、公然と派遣切りを続けることだろう。そして内需はしぼみ続ける。

貧しい人が多いとされている区(税収が悪いために生活保護の打ち切りも多い)でも、というかそういう区のほうが共産党はぼろ負けしている。足立区がかろうじて共産党が最下位当選だが、荒川区などでは1万票もとれず最下位当選者の3分の1程度の得票だ。

貧しい人が連帯するより、さらに小さい政府を標榜する民主党に票を入れているのか?
昔の自民党は金持ちの味方といわれながら、世界的にも厳しい累進課税を続け、地方と中央の格差を是正し、国民皆保険をふくめて医療福祉を充実させてきた。貧しい人には、まだ自民党のほうがましだが、改革路線になってそうは見えないのだろう。

その中で、公明党が全員当選を果たしている。足立区では二人当選だ。

現実的な問題として、さらに自民党が公明党に頭が上がらなくなるのも問題だが、日本では貧しい人たちが選挙でソシアル的な政党を選ぶより、宗教に頼ってしまうことを意味するのかもしれない。いっぽうで中流階級向けと自称する宗教が作った幸福実現党は惨敗している。アメリカでも日本でも貧困層は宗教に頼り、知的レベルの高い中流以上がリベラルだから、この手の宗教が政界に進出するのは難しいということかもしれない。

もし、その分析が正しいなら、日本の格差社会化が進み、貧困率が5割とかいうことになるときには、日本は創価人民共和国のような国になってしまうのだろうか?