中卒の勉強することにまったく理解のない父親をもち、自分が勉強しているときに、父親のことを思うと腹がたって心のバランスが保てないという方からメールをいただいた。

確かに、今のご時世、どんな親をもつかで教育レベルは大きく変わってしまう。お金がなかったり、親が教育に関心がなくて塾に行けないとかいう人なら、這い上がるのはかなり難しい。

私自身、実はひどい父親だった。マージャン狂いで借金をこさえる上、安月給の上、家のローンがあって、母親がパートに出たこともある。そんな中から灘中に通っていたので、公教育がしっかりしていたら、母親がパートに出る必要もないのにと嘆いたものだ。今も公教育を立て直すべきだと考えているのはそのためだ。

でも、私など私学にいけるだけましなほうだったのだろう。でも、いまだに父親に恩を着せられ、金をたかられるとぞっとする。

実は、昨夜は、どういうわけかセレブの集まりに誘われた。

大物政治家の一族や大企業の御曹司で私より若い社長や、大出版社のジュニアと呼ばれる人たちだ。

ジュニア氏は林真理子先生をきちんとエスコートし、林先生が帰った後は私に一言も口を利かなかったが(そういう点ではビジネスのセンスにたけているのだろう)、ほかの人たちは私が予想するよりはるかにきさくな人たちだった。

ジュニア氏が私に口を利いてくれないというのもこちらのひがみかもしれないが、そういう気さくな人であったとしても、この手のセレブの人と一緒にいると勝手にひがんでしまう。

死ぬ思いで勉強して、月に4冊も本を出して、通信教育や医者の仕事であくせく働いても、彼らの収入よりはるかにわびしい収入で、資産などは月とすっぽんほどの差がある。

土曜日にいきなり呼び出されて、灘高時代の仲間と飲んだ。

美容外科で成功しているやつを除くと、こんなことを言っては大変失礼だが、学歴的には勝ち組なのに、みんな心なしか貧乏くさかった。

それと比べるとセレブ氏たちは、20台から親と一緒に、ロマネコンティやペトリウスを飲んでいる話をする。

父親にたかり同然の手紙をもらったのが、1週間ほど前で、その同期の集まりが土曜日、そして月曜日がセレブの集まりだったので、私自身、どんな親をもつかで、どんな運命になるかということを身にしみて感じた。

でも、残念ながら、それでも運命と戦わないともっとみじめな暮らしが待っている。

家に帰って、ワイフにその話をすると、「上を見ればきりがない。でも、下をみてもきりがない」と開き直っていた。

開き直っても心のバランスがとれるかはわからないが、ここで負けたら、将来もっとみじめになる(もちろん、メールの主は女性のようなので、セレブと結婚できるという非常手段もあるかもしれない。なんとそのセレブ氏たちはみんな40代独身だった)。

誰もが親は選ぶことはできない、でも、私はまだ自分で運命を切り開こうとするだけまし、と私と一緒に思おうではないか。