本日は私の新刊、『1分間をムダにしない技術』が非常に役に立ったというメールをもらったが、こういう話は非常にうれしい。私のほうも元気になれる。

ところで、本日の新聞をみると、9都道府県で最低賃金のほうが生活保護の水準を下回るという話が出ていた。

こういう話が出ると必ずといっていいほど、生活保護が高すぎる、働いているより高いのはおかしい、物価や賃金が下がっていて財政が逼迫しているから、生活保護を引き下げろという話になりがちだ。

しかし、実は生活保護というのは、いちばん消費を刺激する公共投資であることが忘れられている。

10兆円分道路を作っても、人件費に回るのは1兆円レベルだろう。民需は1兆円くらいしか増えない。
(これを防ぐためにヒトラーが経済対策としてアウトバーンを作ったときは、人件費を46%になるように設定したという)

しかし、生活保護に10兆円使えば、そのまま10兆円消費に回る。

前にも話題にしたかもしれないが、今回の金融危機の中で、意外にヨーロッパの製造業が死んでいない。

これも失業保険や生活保護が手厚いために、消費がそこまで冷え込んでいないというのも大きな要因だ。

フランスなどでは、生活保護が手厚いので、シングルでも子供が産めるし、働いている女性が子供を作って休職しても十分食べられることが大きな少子化対策になっているという。

生活保護が人間を怠惰にする側面は否定しないが、実際の経済効果はほかの公共投資より大きいのである。

実は、私はむしろ生活保護給付をあげたほうがいいとさえ思っている。

人あまりの時代には、最低賃金より生活保護のほうが高くて、ばかばかしくて働く人が減るくらいにしたほうが、人手不足にもなるし、賃上げのドライブにもなる。

それによって、人々の所得水準があがることこそが、消費不況の際の最大の景気対策になると考えているからだ。

貧困層が多いほど、あるいは富裕層があまりに高額の金をもっていることこそ、GDPに対する消費の比率が低くなる。

バカ経営者が、従業員は会社の一歩外に出たら、消費者になることに気づくまでは、公が、金持ちや企業から税金をふんだくって(法人税は利益に対する課税なので、それで会社が潰れることはない)貧しいものに回さないと日本の経済の将来はない。