テレビを見ていたら、道路の陥没を防ぐための特殊法人が、丸投げで仕事をさせていて、道路陥没の事故が何件も起きているらしい。

この手の特殊法人の廃止を論じることは簡単だ。ただ、代わりの会社を作らないといけないことも少なくないだろう。本質的な問題は、税金の無駄かどうかということだ。もちろん、手抜き工事をした業者に損害賠償をするべきだろうし、発注した人(発注の部門の責任者と公益法人の代表者)にも税金を返せという裁判ができればいい。株式会社の場合、株主代表訴訟というやり方があるが、公益法人だとそれができないのなら、民にやらせるしかないし、納税者代表訴訟ということができる制度を作れば、別に特殊法人のままでいい。きちんとした監査機関が国に損をさせていないかチェックして、損をさせていたら、その天下り男に損害賠償をさせればいい。仕事ができない人間が天下るから問題なのであって、仕事ができる人間が特殊法人のトップになるのはむしろ好ましい。天下りを廃止するより、バカがトップになったときに責任を取らせるほうがよほど賢明だ。国に損をさせたら、自分の財産が召し上げられるなら、できの悪い官僚(本当にできの悪い人はその自覚もないだろうが)が特殊法人のトップの口があっても、それを辞退するはずだ。

民ができることは民にというが、本当は官のレベルを上げるほうが効率はいいし、税金の無駄が少ない。民というのは利益を出さなければいけないが、官が民と同じコストで同じ仕事ができるなら、利益をのっけられないで済むのだ。もちろん難しいことはわかるが、最初からあきらめる必要はない。あるいは、一時民営化して、コストカットに成功してから国営に戻す(もともと国が100%株をもっているのだから)という方法もある。

さて、睡眠障害について質問が来た。

実は、これは難しい。

というのは、睡眠障害についてはいろいろな原因があるからだ。

うつ病や不安神経症がもとで睡眠障害になることは珍しくない。前者の場合は、熟眠障害といって眠りが浅くなったり、早朝覚醒という形をとることが多い。後者の場合は寝つきが悪くなる。当然、薬も違ってくる。うつ病の人に、睡眠導入剤を使っても、眠りは深くならないし、早朝覚醒もよくならない。

睡眠のリズムが悪い人には、光療法が有効だし、メラトニンの分布を促すという光療法以外に実際にメラトニンを飲ませるやり方もある(日本で手に入りにくいのが玉に瑕だが)

一般的には人が考えているより眠れないことの害(眠らないことの害はむしろ過労によるものだ)は少ないから、眠れないことを気にしすぎることはかえって不眠をひどくするとされているが、不眠が続くと体調を崩したり、うつ病が余計悪くなることもある。

いっぽうで、睡眠剤、とくに睡眠導入剤はくせになりやすいのも事実だ。

だから、本来は、医者が、この人の睡眠障害は何によるものかということをきちんと診断して、薬が必要なのか、光療法がいいのか、カウンセリングがいいのかの判断をする必要もあるし、薬を始めたとして、いつ減らそうかとか、いつやめようかなども考えないといけない。

確かに、睡眠導入剤といわれる薬は、基本的に安定剤なので、飲みすぎても死ぬことはまずないし、昔のタイプの睡眠剤と比べて副作用は少ない。

しかし、だからといって、それを安易に出していると、依存症を作ることになる。

簡単な病気のように見えて、医者のプロ意識が必要なものだと私は考えている。(それだけの診察時間がとれないのが日本の医療の問題点だろう。外来の診療報酬を削るのはいいが、20分以上の診療についての加算はぜひしてほしいものだ。そのほうが考えずに薬を出すより、医療費の無駄が最終的になくなるはずだ)