滝田監督の次回作が、釣りキチ三平だという。

実は、私は、『おくりびと』より『バッテリー』のほうが泣けたし、できもよかったと思っている。この人は、笑いのセンスが優れていると同時に、子どもを撮らせたら実にうまい。おそらく、今の勢いなら、客が入るだろうが、見た客の評価がさらに上がるだろう。見事な好循環である。賞をとって、次は気負いすぎとか、芸術志向になる間抜けな人たちと比べて、巡り会わせとはいえ、真のプロの仕事といえる。

さて、小沢一郎氏の秘書が逮捕されて、政権政党の陰謀と反発しているという。

法律に触れることをした以上、陰謀という言い訳は許されないが、日本というのは、警察や検察が非合法を黙認して、気に入らないことがあったら、逮捕することができる国だ。

たとえば、不愉快な奴がいれば、内偵をして、未成年の大学1年生の息子の入学祝にビールを注いだ時点で逮捕できる。わざと守れない法律を作って、ふだんはお目こぼし(別の発音で読むとわいせつというので逮捕にくるのだろうか?)をしておいて、気に入らなければ逮捕する。こういう国だから、陰謀ではないが、為政者に有利な状況であるのは確かだ。

実は、逆の話を民主党の関係者から聞いたことがある。民主党が政権をとれば、小沢氏の情報網で、法に触れる金を握っている人間を一網打尽にするというのである。もちろん、そんなことをすると、逆に自民党が政権を奪い返したときに、仕返しをされる。しかし、そういう緊張関係がないと、政治家は金にゆるゆるな状態は直らない。仕返しを怖がらずに思い切ったことをすれば、自分も仕返しされないように身辺を清潔にするから、政界が浄化されるというのだ。実際、韓国などでは政権が変わるたびに、元大統領をふくめ、政界の中枢にいる人間がどっと逮捕される。そのうちに、腐敗していた韓国政界がかなり浄化されたという。

これが実話ならばと期待していたら、逆に先回りして小沢氏がやられた。

小沢氏は、自民党の幹事長をやっていた関係で、自民党のいろいろと汚い部分を知っているという。彼が政権をとれば、次の選挙で勝つために、前述のようなことはやりかねないという話もあった。しかし、逆に自民党にいたので、自民党の中でも、小沢氏の資金の闇を知っていた人がいたということだろう。しかし、それをつつけば、自分たちも、とくに次の選挙で負けたら、やり返されてしまう。

小沢氏も自民党が知っていそうな資金源は切るくらい脇を固めていなければいけなかったのに、甘かった。自分をつつけば倍にして返されるということを向こうがわかっていると思って油断したのだろう。しかし、自民党のほうも窮鼠、猫を噛むくらいに焦っていたのだろう。そして、最後のカードをきった。

これからの展開が面白そうだし、むしろ民主党に政権をとらせてみたくなった。どんな仕返しをするかが楽しみだからだ。