昨夜は捨てる新聞を整理していたが、最近忙しくて1か月分もたまっていて、いろいろとニュースを知る。

これは古いニュースではないが、写真家の稲越功一さんが亡くなったというニュースが28日付の新聞に出ていた。

秋のエンジンの名古屋のオープンカレッジでは元気な姿を見せていたし、最近体を悪くされていたという話は聞いていたが、少なくとも正月くらいまで元気にされていて、写真も撮り続けられていたようだった。

肺がんという話は聞いていたが、これと戦わないという決意で、最後まで自分の仕事をされていたようだった。西川伸一先生は、どう考えたってもったいないと仰って、いろいろと最新の医療を勧められたようだったが、男の道を選ばれたということだろう。

実は、私も幸運なことに百一人の肖像の写真を撮ってもらった。本来、私のレベルの人間の出番でないが、読売の人が気を利かせてくれたのだろう。

おそらく私が撮ってもらった中で、いちばんいい写真である。

あと、気になったのが、足立区のコンクリ詰め殺人の犯人と間違えられて、ブログにボロクソ書かれた芸人がいて、それで書き込んだ人間が書類送検されたことか?

欧米では、意外に重大事件なら少年の実名も報道される。

少年の実名報道がきちんとされていれば、こんなことにならなかったのに。うわさが立たないようにするのが行政や司法の仕事なのに、うわさが立つような状況を残しておいて、ネットでうわさをかくと罰せられるのでは、まさに言論封殺である。実名報道をしないために、犯人の一人はのうのうとまた暴行事件を起こし、「人を殺しても平気」といって人を脅すのに、それをさらに少年時代に犯罪を起こしているという理由で実名報道しない。

これでは被害の連鎖である。

悪いことをした人間の人権と被害を受ける側の人権とどちらが大切かを考えないマスコミは異常だ。どうせ正社員たちのことなかれのために、国民は損をするのである。

ただ、事件のときに実名報道をすれば、その加害者が損害賠償の訴訟を起こしたら、加害者に対する大衆の怒りも湧き起こるだろうが、今、実名を公開すると、やはり公開された側が裁判でさらに金儲けのネタにする可能性が大きい。非常に理不尽だ。

でも、これがもし殺されていなければ、暴行を受けた人間は、その人がたとえばテレビに出るのを診るたびにフラッシュバックのような症状が出る可能性がある。足立区出身の元不良のコメディアンは、自分がテレビに出ることで、昔ボコンボコンにした相手が、よけいに苦しむ可能性があることくらいは知ってテレビに出てほしい。

更正しても、一生の償いは必要なのだし、被害は終わっていないのだ。

そういう点で、元不良を売りにする人間がテレビに出ることに、私は精神科医として非常な違和感を覚える。少なくともこのタレントも、元不良を売りにしていなければ、こんな書き込みはされていないはずだし、昔ボコンボコンにした相手に謝りにいくくらいのことをするのが、けじめというもののはずである。

不良の更正は美談だが、被害者がいることは忘れてはならない。少年犯罪の被害者遺族は一生、心の傷に苦しめられることがある。その被害者を思いやる気持ちももてないのに、表面上、仕事ができるようになっただけで、更正したといえるのだろうか?