景気の回復にはということで、公共投資であれ、産業構造の転換であれ、いろいろな方法論が取りざたされている。

どちらにせよ、消費が足りないのを何とかしないといけない。これまでは、民間の消費が足りないときは、公が消費する図式だった。

ただ、私自身は国の借金を増やすのは、とくに中高年の人間の老後不安を高めるので、意外に逆効果なのではないかと思う。ならば、増税という話になるが、消費税の増税は、金を使う人間ほど税金が高くなるので、これも逆のドライブがかかりそうな気がする。

金を無理に使わせるのなら、預金税のようなものをかけて、金を預けておくと税金がかかるようにする(ふざけるなと思うかもしれないが、預金以外の金の預け方をしている人間、つまり債券やファンドを買った人間は、マイナスになることはあるのだから、預金だけ絶対元本保証にする必要は実はない)とか、むしろ所得税や法人税を増税して、その代わり、個人所得でも経費を認める、法人税は高い代わりに経費は大幅に認める(法人税は利益にしかかからない。こういう時期にコストを削減すると損だという風にする)ほうが、消費を刺激すると信じている。

ただ、やはりもっている人間に自然に使う気にさせることが大切だろう。

今、いちばんお金をもっているのは、この前のコラムにも書いたように、やはり60歳以上の層である。

個人金融資産(これがあまり毀損していないのも前のコラムに書いた)1500兆円のうち、60歳以上が8割持っている。これが、たとえば老後不安で使われないでいると、景気の回復は程遠いし、使ってくれるようになれば、少なくとも内需が大幅に拡大する。

そのためには、実は医学が大切なのではないかと考えている。要するに、彼らは健康長寿のためにはお金を使う。

私が言いたいのは、健康食品産業に食品業界が転化しろとか、これからは医薬品業界の時代ということではない。娯楽や消費が、体の健康にも心の健康にも老化予防にもいいことを、もっと啓蒙すべきだろう。

たとえば、脳の中で、いちばん最初に老化するのは前頭葉であるが、ここが老化すると意欲や創造性が失われて枯れた老人になってしまう。

すると、頭や体を使わなくなってしまうので、ぼけたようになりやすいし、体力もどんどん落ちてくる。

その老化を予防するには、実際は、はらはらドキドキの体験が必要だ。

遊び、ギャンブル、投資、そしていちばんいいのは恋愛である。

恋愛が老化予防にいいなら、もっとおしゃれに金を使うし、食事もちょっとリッチなものになる。これに金を使ってもらうのは大切だ。

前頭葉の老化予防については、任天堂にだけ設けさせる必要はない。

ほかにも、金を使って遊ぶほうが、心にも体にもいいし、老化の予防になるという話は、明日のココロだ!(ちょっと古いけど、この人、まだ現役です。小沢昭一さんこそ、感情の老化予防の手本のような人と私は信じている)





日本の場合