イスラエルのガザ攻撃を見ていると、やはりあまりの弱いものいじめは人間として不快感を感じる。

しかし、これだけ金融業がへたっても、アメリカはいまだにイスラエルに強いことが言えない。

私は、ふと、これを北朝鮮が外交利用しているのではないかと思えてきた。

たとえば、核査察の際に、「われわれも喜んで査察を受けるが、イスラエルも同時にやってもらいたい。イスラエルだけ認めるのは、イスラムの国も認めないでしょう。イスラエルを査察するなら全面公開すると国連で演説をしようと思うのですがいかがでしょう?」などと、言われたら、また、イスラム地域の国が騒ぎ出すのがうっとうしいから、核の査察を適当にすませて、テロ支援国家をはずしてしまったのかもしれない。

拉致問題にしても、「確かにわれわれの反動分子が、数十人の日本人を、30年も前に連れてきてしまったようです。しかし、彼らを殺したわけではありません。でもイスラエルは、30年前でなく今やっています。その上、我々がつれてきたよりはるかに多くの人を殺しています。われわれも非難に堪える代わりに、イスラエルも非難してもらわないと、差別以外の何者でもないと思うし、国際世論に訴えたくなります」などと言われると、やはり面倒くさいから、あまりまじめに拉致問題にかかわりたくないと思うかもしれない。

もともと、アメリカはアフリカ黒人を拉致して奴隷にした国であり、5000万人いたインディアンのうち4950万人を殺した国だ。そういう人に人道問題の解決を頼んでも拉致があかないだろう。

同じ六カ国協議でも、韓国だって、教科書にはっきり、日本人が何十万人の韓国人をむりやりに連れ出して強制労働をさせたとはっきり書いてある。おそらく史実と違うだろうが、それを国民の99%が信じている国に、拉致問題を解決してくれと言っても、「お前が言うな」と思われるだけだろう。

どういう形であれ、日本がカードをもつしかない。外国にたよって、解決してもらおうとしても、外国の人には外国のものの考え方もあるし、振れられたくないことがある。

北朝鮮のほうが、はるかにそれがわかっている。佐藤優氏によると、北朝鮮の情報機関は中野学校の流れを汲むので、相手の世論操作がうまいらしい。

日本は中野学校の本家なのに、よその国の世論形成が下手だし、逆にアメリカのいいように世論が作られ、構造改革という耳障りのいいことばで、豊かな国民が今のようなていたらくにされてしまった。

もう少し心理学のわかっている人間に外交や政治をやってもらわないと、北朝鮮にすら勝てない情けない国になってしまう。