とある雑誌に頼まれて、私のやっている緑鐵受験指導ゼミナールの講師(全員東大生)を中心に100人ほどの東大生に学習法のアンケートをとった。

2,3人をのけて親は東大卒でない。遺伝だとかエリート環境でなさそうな家の子弟のアンケートということになる。

この中で、私が注目したのは2項目である

一つはいつから学習習慣がついたか、もう一つは苦手科目に対する対応である。

一つ目の答えは7割くらいが小学生時代と答え、二つ目の答えは9割近くの学生が「苦手はあった」と答えるのだが、その対処法の1位が「あきらめる」だった。

実は、これは私の仮説を裏付けるものだ。

子供を東大に入れる三つの条件を聞かれたら、一つ目は基礎学力をつけておくこと、二つ目は親や子供があきらめないで、受かりたいと思うこと、三つ目は自分にあった正しいやり方で勉強することである。

これは、陰山英男先生の『娘が東大に合格した本当の理由』という本にも書いてあるとおりだ。

陰山氏は、娘が小さいころ、家庭塾というのをやって基礎学力をつけた。

そして、娘が新設の無名校に通い、高3の頭の模試でE判定だったのに、受かるはずと信じて、子供に東大受験を勧めた。さらに、みんなと同じことを学ばせようとする予備校や学校のいうことを聞くより、成功者のノウハウを盗んだほうが賢いと考えて、緑鐵受験指導ゼミナールに娘を入会させた。

そんなことを言っても、素質が違うとか、自分のところの宣伝をしているのだろうという反論はあるだろう。

そうかもしれないが、そうやって言い訳をつけてあきらめていれば、可能性がゼロでも、そのやり方を信じて本当にやれば可能性がゼロでなくなるのは確かだ。現に何人も受かるはずのないといわれる成績の子を受からせてきたのだ。

もちろん、1年では無理、2,3年はみてくれということはある。

実際、ドラゴン桜と違って、私の受験のシンデレラは2年かけている。基礎学力がないのだから、分数の計算からやり直させているからだ。

でも、たとえば今高校3年生の劣等生の子供でも中学3年生の教科書をみれば易しく感じるだろう。ということは3年遅らせれば、ずっとトップレベルでいられることになる。

もっと出来が悪くても中1の教科書なら易しく感じるだろう。だとすれば5年遅らせればいい。

実際には高3くらいの子なら、乗り始めると中学の教科書など、受験科目だけなら半年で終わる。

そして大切なのは正しいやり方で勉強する、自分にあったやり方で勉強することだ。

苦手科目があれば、それをあきらめて、得意科目で点をとったほうがはるかに受かりやすい。

地方の人間は、まわりに東大に受かった人間がいないから、すごい秀才でないと入れないと思ってしまう。まわりもあきらめる。

私が講演にいったある学習塾のオーナーは私の本に沿って受験勉強をして、東大の過去問で合格最低点をクリアしたのに教師に受けさせてもらえなかった怒りを私にぶつけた。

別に東大に入るのが偉いといわない。ただ、頭が悪い人間が、自分を頭をよく見せるのに便利な道具であるのは確かだ。何度も言うが、私も自分が頭が悪いことを自覚している。(もっと悪い奴がたくさんいるのも知っているが)

よく「和田さんが頭がいいと思う人はだれですか?」と聞かれるが、いっぱいいすぎて答えられない。

ただ、バカは自覚していると何とか補える。バカと自覚したらあきらめるより、バカでも東大に入る方法がないかを考えたり、バカでも成功する方法を探したりするほうが、実用的にはリコウだと私は信じている。