全国体力テストの結果を文部科学省が公表した。

結果から言うと、子供たちの体力は低下傾向にあること。学力の高い県は体力も高く、学力が低い県は体力も低いことが明らかになった。

歩くことの多い都市部の体力は高いと思っていたが、私の予想と違って、東京や大阪は低かった。

ただ、勉強をさせていると体力が落ちるというでまかせな言説は嘘であることは、ほぼ確認されたといってよい。ゆとり教育になって、よけいに体力が落ちているし、学力の高い県のほうがむしろ体力も高い。

この結果にいかった大阪の橋下知事が、市町村別の結果を公表する方向を打ち出しているが、またまた文部科学省は競争を煽るなという。

尾木直樹氏は、結果を公表すると、事前準備など汚い対策をするようになるので学力がむしろ上がらないというが、体力の場合はどうなのか?事前準備をするとあがるのか?それとも、事前準備をしてあげることはインチキで悪いことなのか?

テスト対策をしてあがった学力はほんものの学力でないというのは、半分事実で半分事実でない。確かに中間試験や期末試験で覚えていたことは、その後、しっかり復習しないと簡単に忘れる。英語や数学のような科目でもフォローしておかないと一度できた問題ができなくなることは珍しくない。

でも、中間や期末のテスト対策さえやらないふまじめな子よりは、対策をする子のほうが、テストが終わってからでも学力は高い。

今のように子供が勉強しないご時勢では、事前準備で勉強するのであっても、勉強するだけましなのである。

体力だって同じことだろう。こっちのほうが事前準備で一度上がった体力は落ちにくいはずだ。

いずれにせよ、結果の公表をしぶったり、競争をとめたりすると、結果的に体力や学力は伸びない。

その上、世の中は、こんな不景気なのに、福祉社会より、より厳しい競争社会を選びつつある。この期に及んで内需を拡大するために従業員を厚遇することより、外国との競争のために人件費を削ろうとしているのだから。クルーグマンの国際競争力というのが、いかに幻想であるかという理論を一度読むといい(彼の本業は、この手の国際経済論である)。

いずれにせよ、子供に関してだけは、どうしても競争を避け、ゆるい教育にしたいという文部科学省は、日本人を知力も体力もないふぬけにしたいようだ。そして、民主党がダメなのは、世襲の人たちでも、一般人に勝てるように自民党が愚民化政策をやっているのに、日教組に気兼ねして、まともな教育政策を打ち出せていないことだ。

秋田や福井をみてわかるように(これらの県の東大合格者数をみればわかるように、別にエリート教育が成功しているわけではない)、学校がしっかりすれば、人々が知的レベルも体力もしっかりする。

教育だって、強い政治力が必要な分野だということを忘れてほしくない。