昨夜、ニュースゼロを見ていたら、生活保護を受けている母子家庭の女性が、正看護師の資格を得るために勉強をしているのはいいが、その学校に通っている期間中、母子家庭だと働けなくなるので、生活保護を出せないといわれていることを問題にしていた。

生活保護というのは、世間で(妻などはその口だが)誤解されているのと違って、最低限の生活費と認定された金額から、収入を差し引いたものが支給される。今のご時勢のようにパートであれば、月10万円がやっととか、就職活動をしたが派遣でしか就職できないが、月に5日しか雇ってもらえなかったとかいう場合は、働く気がなくて働かないのと違うわけだから生活保護が受けられる。しかし、学校に通いたいから、働ける時間も働かないのは許さないというスタンスだ。

村尾キャスターは、短期間(たとえば看護学校に通っている3年間)働かないのを許しても、生活保護から脱却して払わなくて済むようになれば、そのほうが安いと主張する。

これはまさにその通りだ。

画期的に景気が回復しない限り、この中卒の女性は、下手をすると一生生活保護を受けることになる。60くらいまでは月に10万ほど足すことになるだけだろうが、残りの30年弱は満額の支払いになるだろう。約8000万のほかに医療費などの面倒もみないといけない。

これが正看護師になれたら、最初から月給は30万円くらいでも引く手あまただし、年収600万円程度ならざらにいる。そして70歳くらいまで働く気になれば楽に雇ってもらえる。

生活保護費を払わないで済むだけでなく、年金料、保険料も払わせることができる。どっちが地方財政や国家財政の足しになるかは、麻生さんでも計算できるだろう。(麻生さんはアルツハイマーの人でもといったが、アルツハイマーの場合は、中期までは計算できるだろう。この計算ができるかどうかは病気の問題でなく、小学校レベルの教育のレベルである)

ただ、役人は単年度のことしか考えていないからそれでも損だと思うかもしれない。

その上、看護師は慢性的に不足している。このように生活のために絶対働くという人はむしろありがたい。資格を持っている人こそ、働かなければ(うつ病など病気のときはもちろん除外するが)生保を出さないほうが妥当だ。

そう考えると、ほかにも足りない職業の勉強をする人に対して、生保をきちんと与えて資格をとらせるのは賢明かもしれない。介護労働者などは、生保ギリギリのお金しかとれないが、生保より少しましなお金をてれるようにして、資格をとるように仕向ければ、生保を与えるのと介護スタッフが世の中に増えるので上下違ってくる。リハビリなどの職員も足りないらしいが、これも資格の勉強をする間、生保を積み増せば、それなりの収入を得られるようにできるうえに、人手不足も解消する。

今、母子家庭で生活保護を受けている人が10万人いるらしいが、金を使って有効利用するほうが賢明だ。

一人月に月10万円の積み増しで、稼げる仕事につけるなら、月に100億、年に1200億で済む。今回の2兆円のばらまきは、その16年分である。

たりない仕事を補え、将来の生保支出が減り、さらに女性が離婚しても食べられるようにできれば、女性の自立も促す。

ところで、今足りない仕事の最たるものはなんと言っても医者だ。医者になるための6年の勉強期間の生保の積み増しをすれば、医師不足も解消するし、将来の税収の大幅アップにつながる。

ここで、それはさすがに非現実的だと考えた人がいるのではないか?

その通り。医学部に合格しなければいけないからだ。

実は、テレビで紹介したケースでも看護学校に入学するのが、今のご時勢かなり難しいことが触れられていなかった。

非現実的と考えた人の中には学資の心配をした人がいるかもしれないが、最近は、自分の県で働いてくれることを条件に、医学生にかなり高額の奨学金を用意してくれるところがある。看護学校も合格すれば、病院が将来の勤務を条件に授業料を出してくれる話は珍しくない。

だとすれば、大学医学部であれ、看護学校であれ、合格を条件にすれば、生保を無尽蔵に支給することにならない。その学校に合格するだけ勉強するような人であれば、将来の投資が帰ってくる確率はきわめて高い。

イギリスのニート対策も、基本は彼らに食べられる職能や資格を与えることだった。

母子家庭の生保受給者や、派遣村の人たちも含めて、医学部や看護学校、看護大学に合格したら、その間の生活費を生保で出すという話になれば、生保の有効活用になるし、彼らの勉強の動機づけになるだろう。

むしろ、心配なのは、「勉強するくらいなら」と乗ってこない人が多いことのほうだ。