中央大学の理工学部で、45歳の教授が刺殺された。

私より若いこともあって、本当に残念な事件だ。ご冥福を祈りたい。精神科医として、自殺を容認するわけにはいかないが、他殺の被害者は、通常の感覚で、かわいそうに思う。まだ若くやり残したことも多いだろう。

報道でもさんざん映されているが、中央大学は八王子のイメージが強いが理工学部は文京区にある。

実は、娘の一人が文京区の学校に通っていて、事件のために帰宅させられた。

こんな影響もあるのかと思うと、あれこれと想像がめぐってきた。

実は、この理工学部のすぐそばで、河合塾がこの4月から本郷校というのを始めている。東大受験に特化して鳴り物入りで始めたものだ。

今のところ、怨恨によるという説が強まっているが、近くに犯人が潜伏していることを考えると、トイレとかにいくのに、嫌な感じになる生徒もいるだろうと思うと、1年近く勉強してきて、17日からセンターという、いよいよ受験という生徒に、よけいな動揺がないといいと思う。

もちろん、学校の近所で事件があったくらいと普通思うだろうが、直前期というのは、ナーバスになる人も少なくない。

同じように、この大学のキャンパス自体がセンター試験の会場になっているはずだ。

さすがに17日からの試験で、場所を変えることはないだろうが、男子トイレに行くのは、「イヤーな」感じになる生徒もいるだろう。

もちろん現場になったトイレは封鎖されたままだろうが、そのせいで別のフロアのトイレに行かないといけない子も出るだろう。そうでなくても、トイレが足りないことが多いので、やはり気の毒だ。

殺人犯に時期を選べというのは無理な話だが、知らないところで、人の人生を変えてしまっている可能性があることは、多少の良心の呵責をもってほしい。

ただ、日本の刑法では、この手の二次的悪影響が罪状に加算されないから抑止にはならないだろうし、このせいで大学に落ちたと民事で訴える生徒がいても相手にされないだろう。

人間というのは、最終的に運命を受け入れるしかない。

この事件で動揺せずに、しっかりと残りの僅かの時期を勉強してほしい。