本日は、メディカルサイエンスコースを作って、独自のカリキュラムつくりを進める立命館の中学1年生相手に話に行く

今、勉強していたほうが得という話をするが、それなりにまじめに聞いてくれたし、意欲もありそうで期待がもてる

例のごとく、終わったあとの質問がでないでいたが、思い切って質問してくれたのが、私に対して「歳はいくつですか?」というものだった。「いくつに見えるか?」と逆に聞き返すと、まだ子供だからかもしれないが、若めに見てもらえているので、「勉強して、ちゃんと金を稼げるほうがいつまでも若くいられる」と答えてやる。

これはまさに本音なのだが、本音で答えたのが功を奏したのか、その後はいくつか質問が出て気分がいい。

帰りの新幹線で、髪の毛のうすい初老のおっさんが、それなりの美女を連れていた。親子か不倫かと多少好奇の目で見ていたが、私が新横浜の駅で降りるときにちらっと見ると、女のほうが男の手を握り締めてしなだれかかっていて、答えがわかる。ちょっと羨ましかったが、子供に若く見られたこともあって、僕も大丈夫かもしれないと多少は元気になる。

家に帰って少し仕事をして、私が評価する佐々部清監督がテレビを撮ったというので「告知せず」という番組をみる。

がんの一律告知に疑問を投げかけるテーマはよい。原作は、森田療法で有名な大原健士郎氏で、精神科医の著作らしいいいテーマだ。

いくつかの点で、リアリティとか医学監修に問題があって多少しらけるが、それに目をつぶるとしても、肝心の告知について、少しステレオタイプの印象も受ける。

今のご時世治るがんも増えてきたので、がんの告知はしても死の告知や死期の告知をしないで、放射線治療も含む苦しまない治療を行うという選択肢もある。症状がよくなるから、治るかのような錯覚をもたせて、このドラマのテーマである、笑顔を奪わないという方法も可能だ。

それ以上に、告知して、たとえば化学療法を行えば、死期がのびるように思わせるのは幻想だ。

これについては、末期の小腸がんでは、ほとんどエビデンスがないか、伸びても数日のオーダーだろう。
そして、行った場合はQOLははるかに悪くなる。

実際、告知せずにがんと思わずに幸せにやっているのと、インセンティブな治療を行うので、ためしにどちらが余命が長いかのフォローアップ調査をしてはどうか?

ドラマだからいいと思うかもしれないが、こういう多くのドラマでこそ、現状のエビデンスや医学にまつわる誤解を解くチャンスではなかったのかと、いちゃもんをつけたくなった

佐々部さんは映画のほうがいいのもよくわかった