徳田虎雄率いる自由連合が、自らがオーナーの徳洲会グループから72億円の金を借りたままつぶれて、それを返さない見込みという話が新聞に出ていた。

一時期、徳洲会は毎年40億円くらいの金を選挙や政治に使っていて、これも表金だけの話で、こんな金額は氷山の一角(さすがに徳田虎雄対保岡興治の一騎打ちでは、双方数十億の金を選挙のたびに使い、小選挙区になると金がよけいにかかるという話の例にされたことがあるが、そういう金は表に出せないのだろう)という話もある。

私自身は、不正請求で稼いだ金とかでなければ(徳田氏の錬金術にはひどいものがあったという本も出ているが)、自分の稼いだ金を何に使っていいので、それを貸し付けた形にして、政治資金規正法を逃れるというのも(ただし、それでは徳洲会は貸し倒れになってその分税金が安くなるのは許せないが)そう悪いことのように思えない。

問題は、この政党がつぶれたいきさつだ。

要するに、たった一人の国会議員が自民党に入ったから、この政党がなくなったのだ。

徳田虎雄氏の後継者には、息子の毅という人が選ばれているし、無事に衆議院選挙で当選を果たしている。彼がその政党のたった一人の国会議員である。

経歴をみると高校卒業となっているが、日本大学、帝京大学に入学しては中退の繰り返し、UCLAに留学したこともあったが、卒業はできていない。ハーバード大学はサマースクールへの留学で、一般的には経歴に載せないものだろう。

私の尊敬する徳洲会出身の医師(というと、誰のことかわかりそうだが)によると、徳田氏は子沢山で、5人か6人かの子供をみんな新設の私立大学医学部に入れた(彼らが合格した)とのことだから、たった一人医学部に入れなかった子供を、自分の病院の理事にして、政治家の後を継がせたのだろうとのことだ。

医者であれば、新設の医学部であれ、入学試験に合格しないと、さらに国家試験に合格しないと、どんな小さな町医者でも後は継げないが、政治家であれば、どんなに勉強をしなくても世襲できるという見本のような話だ。

そして、彼が大臣の3分の2を世襲議員で固める自民党に入った。

もちろん、奄美群島や沖縄には、徳洲会の病院がいくつもあり、多くの票を握っている。

おかげで、逆風の吹く参議院選挙でも自民党は勝ったし、沖縄の県知事選でも勝った。彼の評価は高いはずだ。

34歳で初当選しているから、彼も、自民党政権が続けば、のちのち大臣になる。

国の命運や国の税金をどう使うかを決める権利をもつ政治家や大臣くらい、医者と同じように、世襲試験のようなものがほしいと願う。