アフガニスタンのNGOで活動中の伊藤和也さんが、拉致され、遺体で発見された。

大変痛ましい事件だが、私はこのようなことがきっかけになって、NGO活動が沈滞化したり、やめるところが増えることを恐れる。

それは、重要な人道支援活動だからというきれい事をいいたいからではなく、日本にとって、大切な民間外交であり、海外宣伝活動であり、リスクヘッジだからだ。

日本の自民党外交は(民主党もそうだろうが)、対米追随外交であり、そのために、とくにブッシュ政権になって以来、イスラム諸国に嫌われるようなことばかり続けている。

それで、日本が国内でテロの標的にされるようなことはないとは思うが、(首都高が爆破に弱いことがばれたばかりなので、それも怖いが)前にも触れたがエネルギー安全保障上は、非常に危険である。

その上、前にもこのブログで書いたが、日本にはインテリジェンスの機関がないため、諸外国で日本が相手に好感をもたれるような活動もほとんどしていない。

一方で、日本は第二次世界大戦でヨーロッパ諸国に勇敢に戦ったり、イスラム教徒が非常に嫌うロシアに日露戦争で勝ったり、アジア人なのに技術レベルが高かったり、あるいは、元祖自爆テロのような岡本公三(実際、かのちでは、今でも英雄だそうだ)のいる日本赤軍を生んだ国でもあるので、イスラムの人は敬意も好意ももってくれているのも事実のようだ。

だから、政府がアメリカのいいなりだからこそ、民間のほうは、今でもイスラム世界と仲良しだし、われわれも好意をもっていると伝える必要がある。

古い話でいくと、イランが石油を国有化した際に、国際世界やメジャーにさからって、イランの原油を買い付けた出光興産や、湾岸戦争の際に、あえてイラクでイベントをやったアントニオ猪木の行動は当然ほめられるべきだし、日本人3人が危ないと言われるイラクで人質になった際に、日本の世論まで彼らの行動を非難したのは賢明とは思えない(それを映画化した小林政広監督は偉い)

政府が、きちんと親イスラム外交ができるのなら、NGO活動などいらないが、そうでない間は、こういう活動は貴重なリスクヘッジだ。

万が一、エネルギー危機がきて、アメリカが助けてくれないとき、自民党の次の政府が「昔から、わてらは親イスラムだったのですが、自民党がアメリカのいいなりだんねん。でも、自民党が道路を作って、俺らに票を入れんと生活できへんようにしてやる」と国民を脅していたから、これまで自民党政権でした。国民もイスラム好きですから、勘弁してやってください」と言いやすいはずだ。