部屋の片づけをしていたら、昔の自分が出演した番組のビデオテープが大量に出てきた。

このまま放っておいても、多分見ないだろうし、画質も劣化する、場所もとるということを考えてDVDにダビングすることにした。

で、5年から10年ほど前の自分を見る。

若い!

今48歳の私は、歳より若く見られることも多いのは、内心うれしく思っていたが、やはり、この5年、10年で非常に老け込んでしまったことにちょっとしたショックだ。

ということもあるが、30代のころの自分は本当に若かった。30代後半のはずなのに、20代とうそをつけるレベルだった(少なくともテレビで見る限り)。

ただ、じたばたしないことにしようと思っている。

たまたま、宗教学者の島田裕巳さんと対談で本を作っている。

島田さんに言わせると、宗教学者は50代ではまだ若造だそうだ。

逆に言うと、これからも宗教学者としては、当分、現役でいられそうだとのこと。

人生、あまり若い時代に、人生のピークがくるより、人生90年の時代だったら、なるべく後ろのほうにピークがくるほうが、はるかに幸せだと彼はいう。

私も本業が老年医学なので、多くの高齢者を見ている限り、まったくそのとおりだと思う。

実は、心理学や精神分析の世界も、歳をとってからのほうが信頼される。

河合隼雄先生にしても、土居健郎先生にしても、80代だって、まったく現役の扱いだ(河合先生は亡くなるまでということなのだが)

フロイトも83まで現役、娘のアンナ・フロイドは86まで現役、私の留学先の創設者カール・メニンガーは97まで現役だった。

文化人といわれる業界は若手があまり出てこないおかげで、いまでも若手扱いされることが多いが、これからは若さより、円熟で勝負できるようになりたい、なんて考えることにした。