厚生労働省の推計で2035年に認知症高齢者の人数が2005年の205万人から445万人に倍増すると発表された。

人口の5%程度がぼけているという話だからすごいことのように思われるだろうが、これは高齢化の中で実は仕方のないことである。

現在でも200万人以上を認知症とみなしているということは、おそらくは軽い人も含めての話である。

実際、ボストンの地域住民を対象にテストしたところ、認知症の基準を満たす人は85歳以上だと45%もいたという。

要するに、ある年齢になると半分もぼけるのだから、老化現象の一種とさえ言っていい。

アルツハイマー病が悲惨だと思われるのは、最初にアルツハイマー博士が報告したケースが確か48歳で今でいう若年性認知症だったからだ。
確かに40代でぼけてしまっては早すぎるし、またこの病気は若いころに発症した人ほど進行が速いとされる。
結果的に悲惨な病気のイメージがついてしまったのだが、逆に80代後半の認知症の人は、外からみても、ちょっと物忘れがひどいとか、ちょっとレスポンスが悪い程度の、もうろくじじいと昔言われて人と大差のないケースも多いし、それ以上に進むのも遅く、ただ、記憶障害程度のレベルでとまっていることが多い。

そういうわけで、実際には大して悲惨でない認知症の人のほうが、数の上ではずっと多いはずだ。

また歳をとるほど、認知症になるパーセンテージが高いので、後期高齢者や80代の人が増えると、飛躍的にその割合が増えることになる。
私の学生時代には65歳以上の5%とか言われていたが、今では8%を超えるのは65歳以上の人の中の75歳以上、80歳以上の割合が増えているからだ。

むしろ、軽いのに徘徊がひどかったり、いろいろな理由で目が離せないケースの問題もある

重くなれば、かえっておとなしくなるので手がかからないこともある

要するに、445万という数より、どうしても施設でないと家族が参ってしまう、迷惑型の認知症の数がどのくらいいて、その人たちのためにどの程度の施設を作る必要があるのかを考えるのが、役人や政治家の仕事のはずだ。

おそらく後期高齢者医療制度がそのくらい必要だとか、財源の問題などのための脅しで発表した数字だろうが、びびるより建設的な意見がほしいものだ