日本記者クラブでの党首討論後の報道各社の論説委員などからの質問を聞いていたが、一部の質問者はジャーナリストとして大丈夫かと疑問を感じるとともに、ジャーナリズム出身者として恐ろしくなった。

 

今回は衆院選にあたって、有権者に各党の主張やそれに対する疑問点を聞く場である。それに加え「問題」とされる部分についても聞く。

当然、厳しい質問もある。

 

しかし、今回の質問者は、自らが所属する新聞や自分の主張に基づき、やりこめてやろうという質問の仕方で、しかも答えている途中で答えをさえぎるという失礼なことをしていた。

 

質問相手が答えに窮するぐらいの詰将棋を見たかったが、自分の思い通りに進まないと質問をかぶせるなどしており、全くそのレベルに達していなかった。

 

毎日新聞の倉重篤郎氏と総理のやり取りを例示すると、

倉重氏「(森友問題、前川問題について)最高権力者である総理大臣のお友達を優遇するケースとして共通点がある。結果的に一番偉い方の友達が優遇されたことに対して、安倍さんはあんまり何も言ってらっしゃらないんですがいかがですか?」

 

安倍総理「籠池氏は友達でもないし一回も会ったこともありません。~(中略)~膨大な議事録は公開されておりまして座長の八田さんも一点の曇りもないとおっしゃっているし、加戸知事も~」

 

倉重氏「私が聞いているのはそういうことじゃありません。結果的にそうなったことについてあなたは何か責任を感じないんですか、最高責任者として総理大臣として!」

 

 

そして、朝日新聞の坪井ゆづる氏は、

「私は7月の国会の閉会中審査で安倍さんが加計学園が今治で特区になったのを知ったのは1月20日だったと、あの証言で逆にびっくりしてですね、それまで知らなかったことはないだろうとみんなが疑念が膨らんでるんですね。本当に1月20日だったということもこれからもおっしゃり続けるんでしょうか?」と質問したのだが、

主語は初め「私は」だったのに、いつの間にか主語が「みんなが」と変わっている。

 

これに対し、安倍総理が「朝日新聞は八田さんの証言も加戸さんの証言もほとんど取り上げない~」と切り返したところ、坪井氏が「取り上げてます!」と割り込んできた。

安倍総理からは「国民のみなさん、新聞をよくファクトチェックしていただきたいと思います」と述べたうえで、「答えはイエスである」と。

 

朝日新聞は紙面で政治家の発言を取り上げ「ファクトチェック」という記事を書いているが、質問する場合もファクトに基づいてやるのは当然のこと。

 

選挙期間中は、メディア各社におかれては、ぜひ各党の主張を事実に基づいて取り上げていただき、有権者への判断材料の一助となりますよう切に願います。