木曜日、参議院国土交通委員会の審議で、巨大防潮堤問題について見直すべきと改めて政府に問いました。

巨大防潮堤問題については6月に、世界トップクラスの津波研究機関である東北大学災害科学国際研究所が、公式のリポート・論文集「東日本大震災から見えてきたこと」で、巨大防潮堤に対する疑問がを示していますが、今回はそれをもとに質問していきました。

研究所のリポートでは、
・数十年から百数十年に1回起きるとされるレベル1津波に対しての防御施設(防潮堤)は、後背地の人口や資産の蓄積を考え...
た場合、過大であること。
・防潮堤を超えるような高い津波(レベル2)では、防潮堤によって引き波が海に戻らず、かえって浸水深が増すこと
・そもそも現行計画の防潮堤では、高い津波が来た時に、期待する減災効果が実現できない
と、
根本的に現行の防潮堤計画に疑問を示しています。

まず、こうした論文を受けて、防潮堤は何を守るためのものか改めて政府の見解を聞きました。

これに対して西村国土交通副大臣からは従来通りの答弁。
・レベル1津波による被害を防げるよう防潮堤の高さを設定している。
・レベル2津波に対しては、防潮堤により浸水までの時間を遅らせる。
というもの。

これを受けて私からは、地元住民にはレベル2の浸水域が提示され「防潮堤により減災効果がこれだけある」と宮城県などが説明しているが、そもそもレベル2津波には防潮堤による減災効果が期待できないと論文は指摘しているではないかという点を述べ、

そして、レベル1津波は防潮堤などで防いでください。その高さや形状は県と地域住民の話し合いでと言っても、堤防の高さは、国の通知にあるレベル1津波からまず算出されて、そこから高さを下げるかどうかについては、県知事が基本的には下げないと言ったら下がらない点を挙げ、このままでは巨大防潮堤が三陸沿岸にそのまま作られることが不可避であるので、根本的に防潮堤計画について見直しを考えるべきと、太田国土交通大臣に問いました。

これに対し、太田国交大臣は、防潮堤の高さや形状については、市町村によるまちづくりの議論などを踏まえて、事業主体である宮城県が適切に定める。
その際には、十分に地元と話し合い丁寧に対応してもらい、合意が得られて地域については速やかに復旧が進むようにしてもらいたい。
と、こちらも従来答弁でした。

これを受け私からは、合意といっても仕方なし合意が広がっていること。
国が「県が柔軟に対応を」と言っても、県の担当職員は国が示した基準に引っ張られてしまうこと。
国は「県の責任で」、県は「国が方針を示しているから」となってしまうので、総合的に見直しを考えないと何も動かない
と指摘し、今回の質問を終わりました。

このままでは安倍総理が目指す「美しい国日本」と反する景観が、三陸沿岸に広がってしまうことになります。私は、精神的にも景観的にも「美しい国日本」を子々孫々に受け継いでいくため根本的に見直しをするべきだと強く考えています。

国会審議でさらに別角度から攻めるとともに、国、県にもあらゆる方法で見直しを働きかけていきます。
政府の根本的な方針変更となると、我が党が与党連立に入るなどして政府・与党を高いレベルから動かすことなどが必要ですが、私はそうした方法もとらなくてはならないと考えています。