この問題においては、児童のご遺族の方々が、明らかな人災であると、宮城県と石巻市に損害賠償を求めた訴訟の初公判が5月19日に行われました。
提訴に至ったのは、ご遺族の思いとして、津波からの避難になぜ時間がかかったのか真実を明らかにしてという思いがあるからです。事実をしっかり行政が説明をしていないのでないかという疑問、すなわち石巻市による説明が変わったり、児童や関係者から聞き取った内容が明らかにされないなどの問題点があります。
なぜ、真実が明らかにならないのかという大きな悩みをご遺族は抱えているわけです。

そこで、まず聞いたのは、
石巻市は、遺族の提訴を理由に、遺族全体との話し合いは行わない考えを明らかにしているが、3月26日の震災復興特別委員会の質疑では、「提訴にかかわらず、石巻市教育委員会において、遺族に対する心のケアなど適切な対応がなされるよう、宮城県教育委員会とも連携を取りながら指導、助言を行っていきたい」との政府答弁があった。
ご遺族に対する心のケアなど、ご遺族に対する対応は答弁通りしっかり行われているのか?と言う質問です。

これに対し、櫻田文部科学副大臣の答弁は、「文科省としては今年3月にまとめられた検証委員会の報告書を踏まえ、石巻市に対し必要な指導、助言を行うなど、遺族を支援してきたいと思っている」との、具体的中身の無い答弁。

そこで、心を閉ざしてしまった遺族に対してケアとは全く逆の事が行われているということの例を挙げ、聞きました。
それは、ご遺族の方々が「ただ訪問して話を聞いていればよいというスタンスでケアが行われている」と感じていること。そして行政側から、事前の案内も何も出さずに、ご遺族個人の携帯電話に直接電話がかかってくる。しかも、携帯電話の番号は教えていないのにかかって来る。これではびっくりしてしまいますし、どこから番号を手に入れたのか疑心暗鬼になります。
本当にケアをしているのか、それともやっているという事実だけを積み上げたいのか。
由々しき事態だと思うので、改善を願いたい、と質問。

これに対し、櫻田文科副大臣の答弁は、「検証委員会の報告書をもとに、国として大川小学校の事故と同様なことが二度と起こらないよう、再発防止の取り組みを進めていく」と、再び具体的中身の無い答弁。

これ以上やっても押し問答になるので、次に、
大川小学校の防災マニュアルには地震の際の避難場所が具体的に記されていないなどの問題があり、この問題への検証を含め、検証委員会の報告書は、検証が不十分という声がご遺族から挙がっているので、国が主体となりもう一度しっかり検証すべきではないかと質問。

櫻田文部科学副大臣は、「防災マニュアルが適切に策定されるよう助言体制の構築を図っている」とまたしても逃げの答弁。国としては再検証はやらないという意味です。

国は「適切にやる、助言していく」と繰り返し言っていますが、そもそもそれは震災があろうとなかろうとやっておかなくてはならなかったわけで、それが出来ていなかったから大川小学校の悲劇は起きたわけです。

しかも、震災後に文部科学省が設置した「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」では、大川小学校の事例について具体的に言及されていません。これでは本当に教訓をしっかりと分析をしてその後の指導に生かしていこうとしているのか大いに疑問です。

そこで、国として、学校における防災マニュアルの策定について具体的にどのように指導を行っているのかを質問しました。

櫻田文科副大臣の答弁は、「マニュアルの作成状況やチェック、助言体制の構築状況を把握しているところで、地域の状況に応じて防災マニュアルが作成されるよう指導していきたい」。
抽象的な答えばかりで、つまり具体的なことはやってないということ。
具体的事例の答弁を用意できないようなので、私からは、しっかりとチェックをして強力な指導をお願いしたいと述べて締めくくりました。

そして、その後6月5日になって文部科学省が、沿岸部の学校における津波対策を明記する「学校設備整備指針」の改定案を示しました。
津波の到達の恐れがある学校において、高台等への避難路の整備を求め、避難場所が無ければ、校舎の高層化や高台移転を促す内容です。7月中に改正が行われる予定です。

具体的な動きが出てきましたが、まだまだ足りません。
私はきょう23日に石巻市にうかがい、大川小学校のご遺族の方と意見交換をしてまいります。
二度と大川小学校で起きたような悲劇を起こしてはなりません。

こちらのサイトもご参照ください。
http://311chiisanainochi.org/