おとといの、みんなの党青年局のACTION11。
単なる視察で終わらせるのではなく、被災地で見たり聞いたりした課題を改善につなげていく取り組みです。

今回は、ACTION11として初めて岩手県に入り、釜石、大槌を訪ね、復興の現状と、巨大防潮堤問題を学ました。


まず、釜石市の小白浜漁港へ。ここは12.5mの防潮堤がありましたが、東日本大震災の津波で壊れてしまいました。津波も防潮堤を超えました。1990年に完成したものですから、20年ちょっとしかたっていないのに、壊れてしまったわけです。
↓被災後の写真
http://photo.sankei.jp.msn.com/panorama/data/2011/0406kamaishi/

そして、添付写真にあるように「避難に勝る防護なし」が全てです。
巨大防潮堤を作っても、壊れるリスクや超えてくる可能性を考えると、結局は避難をいかにするかが全てです。
村井宮城県知事が言っている「一人の命も失わせないために防潮堤を作る」は事実でない説明だと言えます。
現在計画されている防潮堤は、数十年から百数十年に1度の頻度で発生するL1(レベル1)の津波に対応するものです。三陸沿岸で400年~1000年周期で繰り返し発生する巨大津波には対応できません。だからこそ、住民が防潮堤の高さを決め、いかに逃げるかを考え、それを政治や行政が助けるというのが本来の姿なのです。しかし今の宮城県が住民に説明しているのは、「防潮堤の高さはこの高さしかダメ」、形状もコンクリートむき出しであるなど、到底過去の震災に学んでいるとは言えない状況です。

その後、釜石市の花露辺(けろべ)地区にうかがいました。この地区は、住民が一体となり、被災1ヶ月ほどの時点から今後起こることを想像し、防潮堤はいらない、道路のかさ上げで済ますという代替案を釜石市や岩手県に提示し、防潮堤を作らせなかった地区です。
下村自治会長より、既に大部分が完了した高台移転事業についても説明を受けましたが、行政が走り出したら政治の力でも止めるのは困難という事を考えると、花露辺地区の方々が行政よりも早く、今後のまちづくりの姿を結束して提案し実行したことが非常に勉強になりました。

そして、大槌町へ。
ここでは、14.5mの防潮堤が計画されています。住民の方々にお話を聞くと、気仙沼市小泉地区と同じような状況であることが分かりました。行政がまず計画を提示し、「住民合意ができた」という状況に強引に持って行く。(実際には住民合意ではないわけですが)
見直しの声を挙げる人たちに対し、地区の上役たちが「決まったことだから」「街づくりが進まなくなるから声を挙げるな」と言い、発言がしにくい状況にする。

そして、写真をご覧ください。この地区でも防潮堤が壊れています。津波で壊れたのではなく、震災の揺れで地盤沈下したものです。
大槌は、湧き水も豊富で、地盤が緩く、そもそも巨大防潮堤が建設できるのか疑問です。

実は、こうした土木工学上の懸念は、小泉地区など各地であり、もし百歩譲って現行計画で作ることになったとしても、当初計画の予算では作れない可能性があります。その際には追加予算が必要になるわけですが、先週の国会審議で質したところ、追加予算が必要になれば原則承認されるというとんでもない状況にあることが分かりました。すなわち、東北沿岸の防潮堤事業は約1兆円の計画ですが、追加予算が無限に積み重なっていく可能性があるわけです。

大槌では、地盤のかさ上げも行われるということですが、広い範囲の土が固まるのを待っていたら、いつになったら街づくりが始まるのかという状況です。

巨大防潮堤事業は何としても見直さなくてはならない、そして復興まちづくりが進まない現実を見て、さらに必要な手立てを国政の場で打っていかなくてはならないと感じました。