本日(6月3日)参議院国土交通委員会において、海岸法改正案が可決いたしました。
質疑においては、私の質問に先立ち、与野党各党から巨大防潮堤や緑の防潮堤に対する質問があり、各党に見直しの動きが広がってきていることを実感いたしました。

私の質問では、主に以下の点を質しました。

まず、巨大防潮堤の費用対効果について。
全く算出されておらず、気仙沼市小泉地区では、防潮堤の建設費が約230億円であるのに対し、防潮堤が守る国道や農地等の価値は37億円。
そして、他の地区においても、守るべき民家が一戸しかない所に防潮堤を数億円かけて建設するなど、守るべきもの価値と巨大防潮堤の建設費用のバランスが全く取れてないと言えます。
こうした予算をつけることを財務省が認めるのか聞きました。 → 答弁では、真に必要な費用としていただきたいが、個別具体的な事案については事業を所管している国土交 通省に確認をということで、財務省は逃げました。

 事前の財務省へのヒアリングでは、現地に行って査定しているとのことですが、災害復旧事業はほとんど全 て認められ、予算が取り放題ということがわかりました。これで良いのか?と疑問を強く感じる内容で、その点については疑義を申し入れました。
 
巨大防潮堤の建設と、環境に関連する各種法律、例えば生物多様性基本法などとの整合性は取れているかについては → 国立公園内では環境大臣、国定公園内(気仙沼小泉)などでは、都道府県知事が、個別の事業ごとに可否を判断しているとのこと。

 ※すなわち村井知事がOKであれば作れてしまうわけです。。。

そして、すでに作られてしまった宮城県南部などのコンクリートむき出しの防潮堤について、緑で覆うべきでは?という質問に対しては → すでに作られたものも、緑の防潮堤化をしていくと、新答弁が出てきました。
 これにより、コンクリートむき出しの防潮堤については、緑で覆うことを住民が求めることが出来るように なりました。
防潮堤事業などについて話し合う協議会の設置について、宮城県などの海岸管理者が拒否したときに、国が必要と認めたときには、設置できるようにすべき、との質問に対しては → 県などの海岸管理者が判断すべきだが、国も必要な助言を行うと従来答弁を踏襲
小泉地区の防潮堤の構造物としての重さや地盤強度などの計算は十分に行っているかについては → 工法の検討を進めているとあいまい答弁でした。

 宮城県の計画は大甘ですから、このままでは追加予算は際限なく膨らんでいくはずです。
   
 最後に、仙台市蒲生地区の小中学生による「蒲生に新しい公園と緑の防潮堤を」の資料を提示し、コンクリートの巨大防潮堤は望んでおらず、地域の住民はもっとしっかり考えて納得のいく形にしていきたい。
巨大防潮堤計画全般について見直しのための検討会を国に置くべきだと思うが、大臣はどう考えるかを聞きました。 → 検討会は設置しない。あくまで海岸管理者である県が適正に判断すべきとの答弁でした。
こうした質疑が想定されましたので、事前に海岸法改正案の付帯決議をとりまとめました。

主な内容は、
・緑の防潮堤の整備に住民の意見を反映させるとともに、陸側だけでなく海側にも植樹を行うよう研究に努める。
・地域住民や市民団体が協議会の設置と参加を求めた場合は、十分に検討する。
・防潮堤整備にあたっては、自然海岸の保全や砂浜の再生に努める。
です。

提出者として、全会派共同提案となったことと、案文を朗読し、全会一致で可決いたしました。
今回の法案成立で、これまでより改善される部分が出てきますが、巨大防潮堤見直しの方策をさらに打っていかなくてはならないと改めて強く感じた質疑でした。
まだまだ行動していかなくてはなりません!