私の叔父はマンションの一室で孤独死した。心臓発作である。

愉快な叔父で、市内で争える程の巨漢だった。

そんな叔父は孤独死直前、美容室に行ったようだった。

綺麗な金髪で、センター分けのショートボブだった。私は未だに美容師に騙されたと思っている。


叔父はあまりに巨大だったので、棺は特注となった。

火葬場の関係上、棺の縦横の大きさは変えられないとのことだった。そのため、叔父の棺は高さが出た。


問題は納棺である。

親族と業者で、叔父を囲って小会議をする。

持ち上がらないかもしれない。

ただでさえ持ち上げるのは困難なのに、棺の高さがあるために通常のやり方では納棺は不可能ということになった。


道具を使って、叔父は一旦台の上に移された。

その隣に棺を置き、降ろして納棺することになった。

しかし、棺側に立つ人は遠くて力を込められない。人数で補うことになった。

かなりの人数が叔父を取り囲み、納棺へ意気込んだ。


ひとりの男が言う。

ちょっと待ってください。力加減を慎重にやらないと、回転してしまって仰向けにならないと思います。


兄である父が言う。

後ろ向きに?

マスクをしていたが明らかに口元が緩んでいることが透けて見えた。


その瞬間、母が堪えきれずに肩を震わせた。


父と母が溢した笑みは、業者達に許しを与えた。

業者達も肩を震わせ始めた。

母の目には涙も浮かび始めた。哀悼の涙ではないことは明らかだ。


そうしてなんとか棺に収まった叔父は、窮屈そうに身体中の肉を波立たせた。

丁度スライムを流し入れた様子である。

四角くなった叔父の死化粧した顔は水面に浮かぶ仮面のようだった。


業者が叔父の手を組んで仕切り直そうと進み出た。白い着物の袖を整えながら左手を腹部に乗せる。次に右手だった。

右手が見当たらない。


これには業者も焦り、脂肪を掻き分けるように背中に手を入れたりして叔父の右手を探した。

私としては、この業者は中々できない体験をしているのだと少し誇らしい気持ちになり、叔父に対して少し羨ましくも思った。

私も他殺でなければ明るく、生きている時と同じように接してほしいと思った。

他殺の時には悲しんでもらいたい。


叔父の右手は頭の下で見つけ出された。


父が、俺の時はもっと笑ってくれよなと言った。