妄想暴走 (織田信秀の那古野城奪取に関して) | つれづれなるまゝに

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とりあえずの系図

久長 - 敏定 - 寛定 - 寛村 - 達定 - 達勝 - 信友 (大和守家)
     常寛(良頼?) - 寛故 - 寛維 - 寛廉(信張) (藤左衛門家)
                寛貞 (楽田織田氏)

     良信(敏信) - 信定 - 信秀 - 信長 (弾正忠家)
                    信康 (犬山城主)
                    信光 (守山城主?)

敏定・常寛は兄弟、良信も兄弟と推定。
常寛は良頼と同一人物と推定。
この常寛(良頼?)の娘・含笑院(いぬゐ)が
弾正忠家・信定の正室となり、信秀を産む。

兎に角、織田氏は支族が多く、同族争いも多く、
なおかつ史料も不明瞭でややこしい。

ま、上記の推定系図もややこしいのだが。

前回の記事で
信秀の家督継承とその後の
大和守家・藤左衛門家と弾正忠家・信秀との抗争に関して記述したが
もしかしたらこの抗争、那古野今川氏も信秀と敵対してたのかも知れぬ。

那古野城の奪取年が1532年~1538年と推定され
信秀の古渡城の築城が1534年~1539年と推定されるのは
この抗争による影響が齎してる記述の混乱であろう。

信秀の弟・信康が
信定の死没とともにその隠居所・木ノ下城を廃し、
乾山砦を改修した犬山城を居城としたのが1537年とされる。
但し、信定の死没が1538年とされるので
木ノ下城の廃棄はその後の事と思われる。

この犬山城の南方に藤左衛門家庶流の居城・楽田城があるのだが、
その中間に位置する羽黒城には
旧来からの土着氏族・梶原氏(梶原景時の裔とされる)が
かなりの勢力を保有していた。
この梶原氏の動向が
藤左衛門家と楽田織田氏に危機感を覚えさせたように思う。

この羽黒城を遠巻きに囲むように
上四郡守護代・織田伊勢守家の小口城
伊勢守家が築城し、
弾正忠家の信定が奪取したと思われる木ノ下城

そして藤左衛門家の庶流が居場とする楽田城がある。

尾張梶原氏は羽黒城を拠点とした中立勢力だったのだろう。
羽黒城を拠点として土着したのも1200年代とされ、
なかなか干渉し難い勢力であったものと思われる。


信秀の弟・信康の犬山城築城に関しては
対・斉藤氏という面も強いため、
その後背に位置する羽黒城の梶原氏は
1538年頃には弾正忠家の麾下に付いたのかもしれない。

前述した
那古野城の奪取年が1532年~1538年
信秀の古渡城の築城が1534年~1539年
という推定に関してなのだが

那古野今川氏がその居城・那古野城を構築したのが
1521年頃とされ、
それと同時期に三河松平氏の庶流・松平信定が守山城を築城。

長親 - 信忠 - 清康 - 広忠 - 元康(家康)
     信定

この松平信定という人物、
父・長親の跡目を兄の信忠と争うも
叔父の家の養子に出された為に相続が適わなくなる。

松平宗家の信忠が惣領の座を追われた際には、
惣領は信忠の幼子・清康に移る。
これ以降、たびたび宗家に反発し、
松平宗家の座を狙う。

松平信定は織田弾正忠家と結びつく事で
勢力の拡大や宗家簒奪を画策していた模様。

松平信定の正室は織田信定の娘であり、
また娘は織田信定の子・信光に嫁いでいる。

織田弾正忠家の尾張国南東部への進出は
信秀の家督継承前後から進められており、
松平信定が構築した守山城も
織田信秀の家督継承の前年とされる1526年末頃には
信秀の弟・信光の領有となっていた模様だが、
イマイチ定かではない。

少なくとも
松平清康が横死する守山崩れ(1535年)の頃には
守山城に織田信光が入っていたと思われ、
この時期までに松平信定と
織田弾正忠家との縁組が成立したと考えられる。

推測ではあるが
信秀による那古野城奪取までの流れを箇条書きにすると

・1533年7月に
 織田弾正忠家とその他織田一門・那古野今川氏の和議。

・織田弾正忠家が再び尾張国南東部へ進出、守山城を奪取。

・織田信秀が古渡城を構築し那古野城を包囲?

・1535年、松平信定と姻戚である
 守山城の織田信光の造反を期待して
 松平清康が那古野今川氏の救援に向かうも横死。

・松平清康の横死に伴う三河国内の混乱に乗じ、
 松平信定が清康の嫡子・広忠を三河国から放逐、
 岡崎城を占拠。

・松平広忠は今川氏の支援を得て三河国に帰還、岡崎城を奪還し
 松平信定を帰順させる。信定は1538年に死没。

・1535年~1538年、織田信秀が那古野城を奪取し
 那古野今川氏を尾張国内から放逐。

といった感じではなかろうか。

織田信秀による古渡城の構築に関しては
那古野城奪取の後の事かもしれない。

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