「コマンド選択式アドベンチャー」と聞いて懐かしいと感じる人はオッサンである。
ファミコンが現役だった時代にはいろんなソフトメーカーが競い合って数々の名作を生み出したこの「コマンド選択式アドベンチャー」というジャンル。そして時代とともに廃れていった悲しいジャンル。
20代以下の人たちは聞いたこともない用語かもしれない。
ではその「コマンド選択式アドベンチャー」とは何であるか。
画像はファミコン初のアドベンチャーゲームで、ドラクエの作者でもある堀井雄二氏によって作られた「ポートピア連続殺人事件」である。
もともとはパソコン用ソフトとして発売されたこの作品を、ファミコン用にリメイクしたものが、ファミコンアドベンチャーゲームの第一号となった。
ご覧のように、ゲーム画面はグラフィック、テキスト、コマンドの三つのパートによって成り立っている。
この三つのパートがあって「コマンド選択式アドベンチャー」と言える。
これを「コマンド選択式アドベンチャーの三原則」と呼ぼう。
もともとパソコンのアドベンチャーのコマンドは単語入力方式だった。人に話を聞くなら「キク」、場所を移動するなら「イドウ」といったようにいちいちキーボードで入力する必要があった。それをあらかじめ選択肢を用意することによって単語入力の煩わしさから解放したのが同じく堀井雄二氏が手掛け、パソコン用に発売された「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」だった。これによってプレイヤーはそのゲームのストーリーに没入することができた。
そして、キーボードが無いファミコンにも同様にコマンド選択式を採用することによって移植が可能になった。
それがポートピアであり、そのポートピアの時点で「コマンド選択式アドベンチャー」というジャンルはシステムとしては既に完成していた。
この後に他社からもいろいろとこのジャンルのソフトが発売されたが、基本的にはこのポートピアで確立されたシステムの模倣、というか範囲内であったことからも、どれだけ無駄のない優れたシステムだったかがわかる。と同時に最初に完成されていたからこそ、廃れるのも早かったんだなあとも思う。
また、ドラゴンクエストは、このポートピアというコマンド選択式のアドベンチャーの下地があったからこそ受け入れられ、今や日本を代表するRPGになり得たことを考えるとやっぱり堀井雄二って天才なんだなあ。
「コマンド選択式アドベンチャー」の何が優れてるって、余計な要素を排除してゲームのストーリーに没頭できるシステムになってるところだと思う。逆に言えば、他の要素で誤魔化しがきかないためストーリーがお粗末だとクソゲーであることをさらけ出してしまうなかなかシビアなジャンルではある。
しかし、ハードの進化とともにこのジャンルのゲームは減っていき、現在ではほとんど見かけなくなってしまった。
勝手にその理由を考えてみたが、ひとつは最初にほぼ完成されていたからこそ発展させにくかったからじゃないだろうか。ハードの性能が上がっていく中、このジャンルは、アクションやRPGと比べてまぁ、見た目は地味でハードの進化の恩恵を受けづらかったからではないか?そのためか、スーパーファミコンなどの次世代機の時代になると、極端に本数が減っている。
もうひとつはドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったRPGが大ヒットしたため衰退したとも考えられる。「コマンド選択式」という手法は、そこで既に完成されていたアドベンチャーよりも、発展の可能性のあるRPGの方で人々に受け入れられた。その日本RPGの元祖を作ったのが、「コマンド選択式」を導入した堀井雄二氏だったというのがなんだか皮肉な感じもする。
その後、コマンド選択式アドベンチャーゲームはどうなったか。
いわゆるサウンドノベルというものに変容したり、ゲームの中の一部、モードの一つとして存在したり(逆転裁判等)、パソコンゲームで採用されたりした。コンシューマーゲーム機の中で従来の形式のコマンド選択式アドベンチャーというものはまず見かけなくなり、レトロゲームの一種になってしまった。
さて前フリが長くなってしまったが、僕にとってファミコンの思い出と言えば大半がこの「コマンド選択式アドベンチャー」が占める。
アクションは下手、RPGもなんだかめんどくさそう、そんな少年だった僕には、このジャンルはうってつけだった。
その思い出のコマンド選択式アドベンチャーの、僕が遊んだ中で楽しませてもらったものを、今後ちょくちょく紹介させてもらおうと思う。